野菜づくり事始め記  =その5=

 野菜づくりを始めて5年目を迎えた。光陰矢の如し、あっという間に4年が過ぎた。今年も3月になり、種蒔きの季節を迎えた。ジャガイモ・トマト・キャベツ・コマツナ・シュンギク・レタス・サニーレタス・ネギなどの種まき作業で5年目をスタートした。

 昨年度を振り返る
 野菜づくりの3つの喜びの1つ”育てる喜び”を一歩進めるには、基本とも言える”種から育てる”ことを実行することであると考えた。

 種からスイカ栽培
 大玉スイカと小玉スイカの種を鶴ケ島農協で購入。3月末、ポリ鉢に培養土を入れて種まき。気温の下がる夜間はミニ温室に入れて保温した。5月中旬、大玉スイカと小玉スイカ各6株を畑へ移植した。移植早々にカラスに3株イタズラをされ、防鳥ネットを張り防御した。また、日中に温度が上がり過ぎるのを防ぐため、小畔川河畔から葦を刈ってきて敷きワラにした。7月中旬までは虫害にもあわず全く順調に育った。

 隣りの畑の野菜づくり5年先輩のDさんが「スイカがよく育ちましたね!」と初めて褒めてくれた。初めての褒め言葉はうれしい。例年なら7月20日ごろになると梅雨明けである。昨年は梅雨空の日が8月初めまで続いた。Dさんの褒め言葉から1週間後の7月24日、小玉スイカ4株が脱水症状のように葉がしおれれている。前日には異常がなく、一晩で株全体がしおれれている。本で調べるとスイカで1番恐い病気である”つる割病”と分る。収穫直前の10ケの小玉スイカをつけた4株を処分する。次の日から毎日2〜3株ずつ症状があらわれる。結局、収穫直前に”つる割病”にかかり全滅する被害にあった。

 スイカの収穫は開花後50日〜55日と言われている。ちょうど40日位で”つる割病”になった。もう少しで収穫出来る実を30数個全て捨てるのはしのびない。3ケだけ食べてみることにした。食べてみると結構甘い。親戚に1ケ持って行く。「叔父さんのスイカは甘い!」と大変好評であった。もう少し取っておくべきだったと残念に思ったが捨ててしまったものは戻らない。収穫直前になってあっという間に枯れてしまう。意地悪で恐い病気だ。
(追記:一般の畑で見かけるスイカは”つる割病”などを避けるために接ぎ木苗を植えている。接ぎ木苗は病気には強いが甘味が弱い。)

 一年中収穫出来ることを目指したキャベツ栽培
 一昨年は1番難しいと考えていた真夏のキャベツ栽培に成功。昨年は、キャベツが一年中収穫出来ることを目標にトライした。結果は、今年2月中旬からキャベツの収穫が途絶えた。昨年は10月、11月と雨が多く、暖かい日が続いた。9月初めに種まきしたキャベツは11月末には大きく成長した。12月に入ると低温と少雨のため、キャベツの成長が完全に止まった。9月末以降に種まきしたキャベツは球が小さいままで3月を迎えている。今になって対策を振り返ると、11月末に大きく成長したキャベツをお裾分けするために収穫するのではなく、霜や寒さ対策を施して春まで畑で保存し、徐々に収穫すべきだった。キャベツは野菜自給率アップのキー野菜である。今年も継続してトライするつもりだ。

 虫対策
 特に昨年は虫で困らなかった・・・というよりは、少々虫の被害にあっても気にしなくなった。収穫量が少し位減っても気にしない。このような寛容な心も野菜づくりには必要ではないかと考えるようになった。

 今年度の計画
 今年はトマトを種から育てる。育てる喜びの原点は種から育てることと考えている。トマト好きな人達がまわりに多いので思い切って栽培数を昨年の10株から、今年は25株に増やそうと思う。3月10日にトマトの種を培養土を入れたポリ鉢にまき、ミニ温室で苗作りにとりかかった。

 横瀬の棚田学校で古代米作り
 今年から新しい試みとして、秩父・横瀬の棚田学校に入校し古代米作りを始める。横瀬の棚田は350枚ほどあり、規模では県内最大。古いものは古墳時代にさかのぼると言われる。最近は少子高齢化が進み耕作放棄される田が増えている。棚田学校は、このうちの一部を借り、地元の農業経験者が先生になり、生徒と一緒に古代米を作る。耕転や日常の管理などは地元側が行い、生徒達は畝刈り、代かき、草取り、田植え、稲刈り、はざ掛けなど季節ごとに日帰りで通う。お祭りや収穫祭といった地元の行事の時にも呼ばれ、交流の機会になっている。

 入校する理由は、@:基幹作物である米を育ててみたい。A:古代米はお裾分けして喜ばれる代表作物である。B:棚田の写真を四季を通して撮りたい・・・などである。

 育てる喜び。
 収穫し、食べる喜び。
 お裾分けして喜ばれる。
 今年もこの3つの喜びがさらに拡がる年にしたい。

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記:大澤 敏夫(2004-03-14)