5.沸騰水型原子炉は地震、津波に弱い
- 原子炉内の水の喪失は短時間で炉心溶融状態を起こす
国内原発で使用されている沸騰水型原子炉では、水の供給が停止すると、炉内の水は急速に沸騰して短時間で失われる。 水が全て失われると、崩壊熱による発熱のため、燃料集合体の温度は10〜60分後には数千度になり、溶け落ち、その高温で炉心溶融(メルトダウン)が起きる。炉から流出した高温物質が水と反応して、大蒸気爆発が全てを吹き飛ばしたのがチェルノブイル原発事故。
スリーマイル島原発事故は寸前で炉内の高濃度放射性水蒸気を放出し、冷却水注入に成功して炉心溶融(メルトダウン)を食い止めた。
- 水の供給停止の原因
(1)電源喪失による、給水ポンプの停止 (2)非常用(バックアップ)ディーゼル発電機の故障、停止 (3)給水ポンプの故障 (機械故障、電気故障、その他) (4)配管破損による水の大量流出 (地震による破損、疲労による破壊、溶接不良部の破損、他) (5)運転作業ミス (チェルノブイル原発、スリーマイル島原発)
- 復水器の冷却機能低下または喪失も短時間で炉心溶融状態を起こす。
冷却水(海水)の減少または喪失により機能を失うと、原子炉内の水が沸騰し炉心溶融が起きる。 ・原因は循環水(海水))ポンプ系の故障、海水取り入れ口閉塞、海面レベルの低下、他
- 炉内の水と発電タービン用水蒸気は高濃度放射性物質を含み、外部流出は重大な放射能汚染
被害をもたらす。
- 沸騰水型原子炉の構造と発電の仕組み
蒸気を発生させる原子炉系と、蒸気の力を利用して電気を起こすタービン系に分かれています。蒸気はタービンを回した後、復水器で冷却されて水に戻り、原子炉の中で再び蒸気になり、これを繰り返します。復水器の熱は冷却水(海水)で冷却されて海洋に放出されます。
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