2.巨大地震はいつ起きてもおかしくない
1. 地震国日本列島は活動期に入った
◆ 1990年以降の大きな火山活動と地震
発生年月 | 災害名称 | マグニチュード | 震度 | 発震機構 | 注記 |
1991年6月 | 雲仙普賢岳火砕流 |
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1995年1月 | 兵庫県南部地震 | M 7.3 | 震度7 | 直下型、逆断層・横ずれ断層型 |
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2000年8月 | 三宅島大噴火 |
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2007年7月 | 新潟県中越沖地震 | M 6.8 | 震度6強 | 直下型地震(逆断層型) | 柏崎刈羽原発事故 |
2009年8月 | 駿河湾地震 | M 6.5 | 震度6弱 | 横ずれ成分を持つ逆断層型 | 浜岡原発事故 |
2011年3月 | 東北地方太平洋沖地震 | M 9.O | 震度7 | 横ずれ成分を持つ逆断層型 | 福島第一原発事故 |
◆ プレートテクトニクスからみた日本列島
日本列島は、地球を覆っている十数枚のプレートのうち4枚のプレートの衝突部にあって、世界的にも活発なサブダクションゾーンのフロントに位置している。この列島は北米プレートとユーラシアプレートの2つの大陸地殻にまたがり、さらに太平洋プレートあるいはフィリピン海プレートの沈み込みによって2方向から強く圧縮されている。
最近注目され始めた房総沖と伊豆半島付近の2ヶ所のトリプルジャンクションの存在は4つのプレートがぶつかり、せめぎ合う場として世界に類例がなく、日本列島がいかに複雑な応力場に支配されているかを示している。
マグニチュード7以上の地震は世界中でこの90年間に900回ほど起きているが、そのうち10%もの地震が日本で起きている。マグニチュード8クラスの巨大地震も日本海溝や 南海トラフといったサブダクションゾーンに集中し、ここでのプレートの衝突がいかに激しいかがわかる。 さらに太平洋プレートの日本列島下への活発な沈み込みは、日本列島を世界でも有数な火山列島にしている。
このような日本近海のプレート運動は、島弧に強い歪みを与え世界でも有数の地震多発帯、火山活動多発帯といった自然災害の場を形成し、また地殻の上昇も加わって、非常に脆弱な地盤をもつ日本列島を作り上げている。
2. プレートテクトニクス(プレート理論)
プレートテクトニクス(plate tectonics)は、プレート理論ともいい、1960年代後半以降に発展した地球科学の学説。地球の表面が下図に示したような何枚かの固い岩板(プレートと呼ぶ)で構成されており、このプレートが対流するマントルに乗って互いに動いていると説明される。
プレートと地震、火山
地球の表面は厚さ数10〜200km程度の固い岩石の層で覆われ、その層はいくつかのブロックに分割されている。この板状の固い岩石の層をプレートと呼ぶ。プレートの境界ではプレート同士の押し合う力が地震を発生させる(プレート間地震と呼ばれ、海溝付近で発生する海溝型地震と呼ばれるものもこのひとつ)。このタイプの地震の中にはマグニチュード8クラスの巨大地震も含まれる。プレート同士の押し合いの結果、プレートの内部にもひずみがたまり、地震を発生させる(プレート内地震と呼ばれ、活断層による内陸地震もこの種類)。また、陸と海のプレートの境界では、海のプレートが陸のプレートの下に沈み込んでいくことが多く、この沈み込んだ海のプレートの内部にも地震が発生する(深発地震)。また、プレートの沈み込みは、火山の原因となるマグマを発生させる。プレートの運動は、世界の地震・火山活動の源なのである。下図はこれらを模式的に表したものである。
3. プレート境界で「横ずれ成分を持つ逆断層型地震」は巨大地震になる
プレート境界型地震は異なるプレートの境目で起きる。沈みこもうとするプレートによって押し下げられたもう一つのプレートがひずみに耐えきれず、はね返って巨大地震を引き起こす。10万人以上の犠牲が出た1923年の関東地震(関東大震災)がこのタイプ。過去に大きな被害をもたらした東海地震、東南海地震、南海地震、今回の東北地方沖地震も同様だ。
(1)プレート境界型地震の特徴
・M8以上の巨大地震になる
・被害の範囲がとても広い
・大津波が発生する
・同じような場所でくり返し発生する
(2)東北地方太平洋沖地震(3月11日)は近年最大の地震と津波を起こした
・プレート境界域で大地震が3回起こり、揺れは約6分間
・震源域は海中で南北500キロ、東西200キロ
・地震の大きさはマグニチュード9.0
・最大震度は宮古で7.0
・震源地の海底が24メートル移動、陸上では牡鹿半島で約5.3メートル移動
・海側の太平洋プレートが陸側の北米(北アメリカ)プレートの下にもぐりこむ
境目で起きた。
地震の規模が巨大だったのはプレートのずれが非常に大きくて、
岩手県から茨城県までの断層が20メートルはね上がったとみられる。
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