社会人野球:大一番で初完封 ホンダ・石橋

 ○ホンダ2-0日立製作所●(日本選手権準々決勝、7日・京セラドーム大阪)

 ◇ホンダ・石橋良太投手(24)

 球威のある直球で相手をねじ伏せ、落差のあるチェンジアップと打者の手元で変化するカットボールで的を絞らせない。高々と打ち上がった打球は次々とフライとなった。六回以降は安打を許さず、「社会人になって初めて」という完封を大一番で成し遂げた。

 立ち上がりは不安だった。「自分でも大丈夫か心配になるくらいほとんどが甘い球だった」。三回1死一、二塁では、けん制悪送球で二、三塁とし、自らピンチを広げた。

 2009年には都市対抗を制し、日本選手権でも準優勝した関東の強豪も、その後は両大会で2勝していない。「自分の投球でチームを引っ張りたい」。強い思いが力みにつながっていた。

 そのことに気づき、低めに球を集めることに集中。後続を打ち取り、落ち着きを取り戻した。中盤以降は下半身を使った投球ができるようになり、波に乗った。

 拓大出身の2年目。今季は大事な試合を任されるようになり、「エースとしての自覚が生まれた」。今秋のドラフトで楽天から5位指名を受けたが、やることは今までと変わらない。「チームの勝利のために自分の一生懸命の投球をするだけ」。その右腕で、チームを5大会ぶりの4強に導いた。【長田舞子】

毎日新聞 東京夕刊(2015-11-07)