ホンダ、F1今季初勝利 予選からのタイヤ戦略奏功

自動車のF1シリーズ第5戦、70周年記念グランプリ(GP)は9日、英国のシルバーストーン・サーキットで決勝が行われ、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(オランダ)が今季初勝利を挙げた。昨年11月のブラジルGP以来の勝利で通算9勝目。ホンダ勢としても、今季の初勝利となった。

レース戦略をフェルスタッペンが完璧に実行し、待望の今季初勝利をつかんだ。スタートで4番手から1つ順位を上げると、前を走るメルセデスの2台を追走。ライバルたちより持久性があるが、スピードでは劣るはずの硬いタイヤにもかかわらず、ほぼ同じペースでラップタイムを刻んだ。

最初のタイヤ交換はメルセデス勢より遅い26週目。軟らかいタイヤに履き替え、ピットアウト直後にポールポジションスタートのバルテリ・ボッタス(フィンランド)をかわしてトップに。最後は3連勝中の2位ルイス・ハミルトン(英国)に11秒以上の大差をつけて、チェッカーを受けた。

前週、同地で行われた英国GPではメルセデス勢の2台のタイヤがパンクした。足元に不安があるライバルに対し、「うまくいけばチャンスはあると思っていた」とリモート会見したホンダの山本F1マネージングディレクターは見ていた。

実際、今回のレースは前週より1段階軟らかいタイヤを使っていた上、路面温度も高い厳しい条件だった。思うようにタイムを伸ばせないメルセデスの2台に対し、「僕らの車の方がタイヤに優しい」とフェルスタッペン。タイヤをいたわりつつその長所を生かして相手を追い詰めていった。

それを可能にしたのがフェルスタッペンが「2次予選のタイヤ選択が奏功した」と振り返った大胆な予選の戦い方だった。現在のルールでは、3次予選進出の10台は2次予選で記録を出したタイヤで決勝をスタートする。2次予選落ちの可能性もあり、硬いタイヤで挑むのはリスクがあったが、これを成功させたことで戦略の幅が広がった。

メルセデスが圧倒的な速さを見せる今季は、新型コロナの影響による過密日程でレースに追われ、開発に関わる時間が限られている。山本氏とともにリモート会見に臨んだ田辺F1テクニカルディレクターは「閉塞感が漂いかねなかった。この勝利はモチベーションが高く上がる結果だと思う」と評価した。

《追記》
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nikkei.com(2020-08-10)