4.大半の国内原発の耐震強度は不十分
- 2007年新潟県沖地震の柏崎原発、東北地方太平洋沖地震の福島原発とも、「新指針」の
想定の2倍以上の揺れを観測し、「新指針」にも疑問が生じている。
- 2006年に発行された「原発耐震指針改訂」により、想定震度は1.6倍にかさ上げされた。現存の57基は全て改訂以前に設計に着手しており基準を満たしていない。内23基は旧指針が発行される以前に建設されている。新指針以降、殆どの原発の耐震強度は引き上げられたと報告されているが、対策の内容に関しては疑問が多い。
(1) 柏原刈羽原発は、2007年の新潟県中越沖地震(マグニチュード6.8)で全原子炉7基が休止、機器は大きく損傷、地盤の大崩壊で変圧器が落下後炎上、大事故寸前に至る。
(2) 浜岡原発は2009年の駿河湾地震(マグニチュード6.5)で想定を大きく上回る大揺れに見舞われて運転中止、機器損傷、地盤の崩壊発生。
- プレートテクトニクス(プレート理論)は1960年代に成立して、海外では認知されたが、国内の主流の地震学者、地質学者は古い日本独自の地震学に固執したため、これに基づいて作成された「旧原発耐震指針」では想定震度は低く設定された。1995年の兵庫県南部地震以後、ようやくプレートテクトニクスと震源の断層活動に基づく新しい理論が国内で認められて、海外に30年以上遅れて2006年の「新指針」発行となった。
- 「旧指針」では原発近辺の活断層の存在、危険性は明文化されていないが、浜岡原発と柏原刈羽原発の真下に、また島根原発の直近に活断層が確認された。福島原発でも近くの活断層の被害が確認された。
- 地震で原発の直下または直近の活断層が活動すると、強い揺れと同時に、地面の大きな亀裂、段差等が発生して構造物を破壊する。原発の水、蒸気配管、電源、建屋などが破壊されると短時間で炉心溶融などの大災害が起きる。
- 原発周辺断層再調査の動き
従来、地質学者、地震学者からの強い要望を無視してきたが、3がつ1日の震災の後、原子力
安全委員会は4月28日、全国の原発周辺にある断層の影響を再検討することなどを、経済産業省原子力安全・保安院に求めた。
- 補足資料
(1)「原発周辺断層再調査を・・原子力安全委員会」・・東京新聞 4月18日 (2)「「活動しない」認定の断層、地震で動く」・・毎日新聞 4月21日 (3)「福島第一の揺れ、耐震設計の想定を超える」・・毎日新聞 4月2日
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