おわりに |
自動車業界は、今また全世界のメーカーを巻き込んだ激しい生き残り競争の渦が巻いている。 こうした中で、製造業としての根幹である生産の競争力を、これからの時代を考えて強くしていかなければ、企業として生き残って行けない事は論を待たない。 そして、そのキーを握っているのは人であり、とりわけ生産の現場にいる第一線の人たちの力が企業の存亡を左右する事になる。 ホンダは創業以来、この事の大切さを認識し、企業理念にまで高めて企業活動を行ってきた。 奇しくも賢者P.ドラッカーは、30年以上も前にこの事の大切さに気づき、米国の企業に警鐘を鳴らしていたが、未だに極一部のエクセレントカンパニーにしか受け入れられていない。(これを受け入れ、自分のものにした会社のみがエクセレントカンパニーになったのである。) 日本の企業にしても、「企業は人なり」の言葉は良く使うけれども、人への焦点の当て方はかなりなまぬるい。ホンダのように前面に掲げている会社はあまり無い。 従って、本論で述べているような、第一線の人たちを育て、又は教育訓練によってレベルアップさせ企業競争力の源泉にするという事は、ホンダだから出来る事であり、他社はなかなか真似出来ないのである。 企業文化としては既にあるわけで、後は具体的な施策を継続的に行う事だけである。 現在、ホンダ塾のような施策を広く展開しようとしているのは大変良いタイミングであり、第一線のところまで浸透させ、継続できるようE人開等の仕組が出来たものと期待している。 そしてこの、人とセットになるべき生産システムについても、ホンダにはこういった事に最も適した良い仕組がある。 それはEGである。これも他社が真似出来ないものなのである。 EGは、生産システムが他社に負けないようにする責任があるわけで、その意味から新技術開発に期待が掛けられているが、一方で既存のシステムの成長(人との関わりで)という点にもっと神経もパワーも使わなくてはならない。 新しい技術の方向性もこういった中から明確になってくるものが多いのも事実であるし、新しい技術がラインで本当の力を発揮できるのは、こういった成長を継続して行くような活動が活発な時や、職場なのである。 そして、第一線の人たちとの連携によって、より良いマン−マシンシステムを作り出して欲しい。 その為の技術手段(EX.シミュレーション技術)にもパワーをかけて取り組んで欲しい。 ホンダだから出来る 人と生産システムが相互に作用し合う世界最高の生産体質 |