<Q>
 Excelを簡易CADとして使ってみよう
《 Excel :便利機能=その6= 》


 CADソフトには AutoCAD(LT)≪注*1≫、簡易に使えるものとして Visio≪注*2≫などがあるが、めったに使わないのに大金を払うのはどうも? という方にExcelを工夫して図面を描く方法を紹介します。.機能は本格CADに遠く及びませんが結構役に立ちます.試してみてください。
≪注*1≫ AutoCAD、AutoCAD-LTは オートデスク鰍フ商品名で前者は50万円以上、後者でも10万以上。
≪注*2≫ Visioはマイクロソフト鰍フ商品名。

<A>
【1】記号の説明

T.記号の説明( [CL] [D&D] [SC] )
@[CL]はマウス左ボタンのクリックを表す。また[右CR]はマウス右ボタン・クリックのことです。
A.[D&D]はドラッグ・アンド・ドロップでマウス左ボタンを押したまま指定の位置まで動かしてボタンを離す操作。
B.[SC]は画面やプルダウン・メニューをスクロールする操作。

U.キーの説明( [Alt] [Ctrl] [Shift] )
@.[Alt]キー:セルにカーソルを近づけて、[Alt]キーを押すと最も近い隅に合致します。.図-01でカーソルを「A1」セルの上下左右の中心線より左上の範囲(茶色)に動かして[Alt]キーを押すと左上隅に合致、右下範囲(青色)に動かして[Alt]キーを押すと右下の隅に合致します。
A.[Ctrl]キー::図のコピーを作る時に使います.元の図にカーソルを当て、矢印付十字カーソル:Dなったら[CL] のまま、カーソルをコピーしたい位置まで移動、[Ctrl]を押したまま[CL]を離すとコピーができます。
B.[Shift]キー::線の長さを変えた時に線を水平又は垂直に保ってくれます.長さを変えたい線の端部にカーソルを当て、カーソル:Eになったら[CL]のまま移動し、[Shift]キーを押したまま[CL]を離し、もう一度[CR]すると水平又は垂直の線が引けます. [Shift]キーを押さない場合はカーソル移動のままの線になるので斜め線になることがあります。(図-02)




【2】事前設定

T.「図面サイズ」と「図面の描画範囲を設定」

@.「ファイル」メニュー[CL] → 「ページ設定」画面 → 「ページ」タブ[CL]で用紙サイズを設定
A.「ページ」タブ[CL] → 図面の縦/横を設定
B.「余白」タブ[CL] → 図面四辺の余白を設定(図-03)





U.「図を描く範囲」と「描いた図をカーソルキーで移動させる量を設定」(図-04)

@.セル範囲 A・1〜DZ・100(A4横置きの場合)を指定
A.指定した範囲のセル幅0.83(10ピクセル)、セル高さを7.5(10ピクセル)に設定


V.図面描き効率を上げるのに役立つアイコンをツールバー(画面下部の描画ツールバーが適当)に置きます.(表-02)

@.「ツール」メニュー[CL] → 「プルダウンメニュー」 → 「ユーザー設定」[CL] → 「ユーザー設定」画面 → 「コマンド」タブ[CL]
A「編集」分類から「切り取り」「コピー」「貼り付け」アイコンをツールバーへ[D&D]
B.「表示」分類から「セルの高さ」「セルの幅」アイコンをツールバーへ[D&D]
C.「書式」分類から「フォント色」「線の色」「塗りつぶしの色」アイコンをツールバーへ[D&D]
D.「図形描画」分類から「グループ化」「グループ解除」「最前面へ移動」「最背面へ移動」「前面へ移動」「背面へ移動」「自由に回転」「左90度回転」「右90度回転」「左右回転」「上下回転」アイコンをツールバーへ[D&D]
E.「オートシェイプ」分類から「直線」「矢印」「四角形」「楕円」「テキストボックス」「縦書きテキストボックス」「双方向矢印」    「二等辺三角形」「直角三角形」「六角形」「五角形」「円弧」アイコンをツールバーへ[D&D]
F.「フォーム」分類から「グリッド」アイコンをツールバーへ[D&D]
G.この他に欲しいアイコンがあればツールバーに置いてください。

W.図面を描く前の準備

@.図面の寸法とセルの数との関連を決める. (S=k×T)
   例1. 5mm=1セルとした場合は k=セル数(S)÷寸法(T)=1[セル数]÷5[mm]=0.2 なので S=0.2×T 縮尺:1/2
   例2. 10mm=1セルとした場合は k=1[セル]÷10[mm]=0.1 なので S=0.1×T 縮尺:1/4
   例3. 50mm=1セルとした場合は k=1[セル]÷50[mm]=0.02 なので S=0.02×T 縮尺:1/20




<<特記事項>>
上記の 式-01 を図面の片隅に置いて、水色欄のセルに実寸法をmm単位で入力すると直ぐ下の茶色欄のセルに図面上のセル数が表示される.またさらに下の紫色欄にピクセル数が表示されるので描画中の図面の片隅に置いて使うと便利です。設計対象の大きさに応じて係数kの値を決めてください。以下の説明で描く図面では k=0.2(式-02)とし、V.1.章の設計例「本棚の設計」では k=0.02 としました.。

【3】図面を描く

T.基本的な図形を描く(カーソル形状は 表-01 参照)



1..直線を引く(例.60mmの直線を引く場合は S=0.2×60mm=12セル)
@「直線」アイコンを[CL] → 「+カーソル:F」に変わる → 始点のセルの左上にカーソルを当て、[Alt] を押したまま終点の12番目セルの右上まで[D&D]後、[Alt]を離す → 「直線 図-001」
A線の色、点線、太さ等変えたい時は以下の操作を行う(例. 橙色・点線・1.5ポイントの線にする)
B「描画モードの矢印カーソル:B」を直線に当てる → 「矢印付十字カーソル:D」に変わる → そのまま[右CL] → 「プルダウン」メニュー → 「オートシェイプの書式設定」[CL] → 「オートシェイプの書式設定」画面 → 「色と線」タブ[CL]   → 「線の色」「実線/点線」「スタイル」「太さ」設定 → 「OK」[CL]
C指定された 図-002 に変わる



2.四角形を描く(例. 縦40mm、横60mmの四角を描く場合はSv=0.2×40mm=8セル、SH=0.2×60mm=12セル)
@「四角形」アイコン[CL] → 「+カーソル:F」に変わる → 始点のセルの左上にカーソルを当て、[Alt]を押したまま右下方向の縦8番目、横12番目セルの右下にカーソルを[D&D]後、[Alt]を離す→ 四角形 図-003
A描かれた四角形の内側を塗りつぶさず、2ポイントの緑色実線に変えたい時は以下の操作を行う
B「描画モードの矢印カーソル:B」を四角形に当てる → カーソルが「矢印付十字カーソル:D」に変わる→ そのまま[右CL] → 「プルダウン」メニュー → 「オートシェイプの書式設定」[CL] → 「オートシェイプの書式設定」画面 → 「色と線」タブ[CL]→ 「塗りつぶし」「線の色」「実線/点線」「スタイル」「太さ」設定 → 「OK」[CL]
C指定された、塗りつぶし無し・緑・太さ2ポイント実線の長方形 図-004 に変わる



3..正方形を描く(例. 4辺が40mmの正方形を描く場合はS=0.2×40mm=8セル)
@四角形」アイコン[CL] → 「+カーソル:F」に変わる → 始点のセルの左上にカーソルを当て、[Alt]を押したまま右下方向の縦8番目、横8番目セルの右下にカーソルを[D&D]後、[Alt]を離す → 正方形 図-005
A描かれた正方形の内側を薄青で塗りつぶし、2ポイントの青色実線に変えたい時は以下の操作を行う
B「描画モードの矢印カーソル:B」を四角形に当てる → 「矢印付十字カーソル:D」に変わる → そのまま[右CL]→ 「プルダウン」メニュー → 「オートシェイプの書式設定」[CL] → 「オートシェイプの書式設定」画面→ 「色と線」タブ[CL] → 「塗りつぶし」「線の色」「実線/点線」「スタイル」「太さ」設定 → 「OK」[CL]
C指定された、薄青塗りつぶし・青・太さ2ポイント実線の正方形 図-006 に変わる



4..を描く(例. 直径50mmの円を描く場合はS=0.2×50mm=10セル)
@「楕円」アイコン[CL] → 「+カーソル:F」に変わる → 始点のセルの左上にカーソルを当て、[Alt]を押したまま右下方向の縦10番目、横10番目セルの右下にカーソルを[D&D]後、[Alt]を離す → 円 図-007
A描かれた円の内側を塗りつぶさず、1ポイントの青色点線に変えたい時は以下の操作を行う.
B「描画モードの矢印カーソル:B」を円に当てる → 「矢印付十字カーソル:D」に変わる → そのまま[右CL]→ 「プルダウン」メニュー → 「オートシェイプの書式設定」[CL] → 「オートシェイプの書式設定」画面→ 「色と線」タブ[CL] → 「塗りつぶしなし」「線の色」「実線/点線」「スタイル」「太さ」設定 → 「OK」[CL].
C指定された円 図-008 に変わる


5..楕円を描く(例. 横径50mm、縦径30mmの楕円を描く場合はSv=0.2×50mm=10セル、SH=0.2×30mm=6セル)
@「楕円」アイコン[CL] → 「+カーソル:F」に変わる → 始点のセルの左上にカーソルを当て、[Alt]を押したまま右下方向の縦6番目、横10番目セルの右下にカーソルを[D&D]後、[Alt]を離す → 楕円 図-009
A描かれた楕円の内側を塗りつぶさず、0.75ポイントの黒色実線に変えたい時は以下の操作を行う.
B「描画モードの矢印カーソル:B」を楕円に当てる → 「矢印付十字カーソル:D」に変わる → そのまま[右CL]→ 「プルダウン」メニュー → 「オートシェイプの書式設定」[CL] → 「オートシェイプの書式設定」画面→ 「色と線」タブ[CL] → 「塗りつぶし」「線の色」「実線/点線」「スタイル」「太さ」設定 → 「OK」[CL]
C指定された楕円 図-010 に変わる


U..複数のアイコンを使って図形を描く

1..半円を描く(例. 直径40mmの半円を横向きに描く場合はS=0.2×40mm÷2=4セル)
@「円弧」アイコン[CL] → 「+カーソル:F」に変わる → 始点のセルの右上にカーソルを当て、[Alt]を押したまま左下方向の縦4番目、横4番目セルの左下にカーソルを[D&D]後、[Alt]を離す→ 1/4円弧 図-011
A「描画モードの矢印カーソル:B」を円弧に当てる → 「矢印付十字カーソル:D」に変わる→ [Alt]を押したまま右に[D&D]後、[Alt]を押したまま[Ctrl]を押して[Alt]を離す→ 1/4円弧がコピーされ 図-012 になる
Bコピー円弧に「矢印カーソル:B」を当て、「カーソル:D」になったら」[CL] → 「右回転」アイコンを[CL] → 1/2円弧 図-013 になる
C「直線」アイコン[CL] → 「+カーソル:F」に変わる→ 1/2円弧の左下にカーソルを当て[Alt]を押したまま円弧の右下まで[D&D]後、[Alt]を離す→ 半円 図-014 が描かれる → 「カーソル:B」で半円を囲む様に動かす[CL]
D「カーソル:B」で半円を囲む様に動かす[CL] → 3つで構成されている図が全て指定される→ 「グループ化」アイコン[CL] → 半円 図-015 になる
E「左回転」アイコン[CL] → 横向き半円 図-016 になる
<<注意>>
.複数の図形を「グループ化」しないで回転させると個々の図形単位で「回転」してしまうので 必ず「グループ化」してから回転」させてください.(図ー017)




2.長円を描く(例. 縦径10mm、横径40mmの長円を描く場合は
  Sv=0.2×10mm=2セル、SH=0.2×(40mm-10mm-10mm)=4セル)
@「円弧」アイコン[CL] → 「+カーソル:F」に変わる → 始点のセルの右上にカーソルを当て、[Alt]を押したまま左下方向の縦2番目、横2番目セルの左下にカーソルを[D&D]後、[Alt]を離す→ 1/4円弧 図-018 が描かれる
A「描画モードの矢印カーソル:B」を円弧に当てる → 「矢印付十字カーソル:D」に変わる→ [Alt]を押したまま右に[D&D]後、[Alt]を押したまま[Ctrl]を押して[Alt]を離す→ 1/4円弧がコピーされる 図-019
B「コピーの円弧に矢印カーソル:B」を当て、「カーソル:D」になったら[CL] → 「右回転」アイコンを[CL]→ 1/2円弧 図-020 になる
C「カーソル:B」で円弧を囲む様に動かす[CL] → 「2つの図が指定される」 → 「グループ化」アイコン[CL]→ 円弧 図-021 になる → 「左回転」アイコン[CL] → 図-022 になる
D円弧を右にコピー 図-023 → 「左右回転」アイコン[CL] → 「図-024 になる
E回転させた方の円弧を右に4セル分移動させる 図ー025 になる
F2つの円弧の両端同士を 図-026 の様に直線で結ぶ
G「カーソル:B」で4つの図を囲む様に動かす[CL] → 囲まれた図が指定される → 「グループ化」アイコン[CL]→ 長円 図-027 になる


V.その他の図形を描く

その他の図形も上記T.1.直線や2.四角形、U.1.から2.の描き方を参考に描いてみてください.。

記:近藤 正英 (2004-06-04)