ホンダ、タイ工場再開に半年 浸水で10万台影響

 タイの洪水で被災したホンダの現地工場の生産再開に、半年程度がかかる見通しとなった。同工場は日系自動車メーカーの生産拠点で唯一浸水による直接被害を受けており、水が引いた後に設備を入れ替える必要が出てきたためだ。生産できない車は今期の世界生産計画の約3%に相当する10万台を超える見通しだ。

 「シビック」や「シティ」を生産するホンダの工場が入居するアユタヤ県のロジャナ工業団地は今月9日に浸水した。現在も2〜3メートルの高さまで水に漬かっている。詳細な被害状況を把握できておらず、ホンダは取引先の一部部品メーカーに生産再開まで半年程度かかる恐れがあることを伝えた。

 同工業団地の水が引くのは早くても11月中旬となる見通し。1カ月間水に漬かると再使用できる設備は限られ、「大幅な入れ替えは避けられない」(ホンダ幹部)。取引先の部品メーカーも被災しているうえ、道路などのインフラが損壊しており、工場を再稼働できるのは来春になりそうだ。

 ホンダは今期、世界で約340万台を生産する計画で、東日本大震災後の減産分を取り戻すため、秋から増産体制に入っていた。タイの工場を半年間休止することで生産できない車は10万台を超える。生産再開後、早期に挽回したい考えだ。

 タイには日系自動車メーカー8社が生産拠点を構え、トヨタ自動車など他の7社の拠点は浸水被害はない。ただ、部品メーカーの被災や物流の混乱で必要な部品調達が難しくなっており、各社は全工場の操業を休止している。ホンダ以外は部品の供給網が復旧すれば早期に生産を再開できる可能性が高い。

nikkei.com(2011-10-30)