都市対抗野球:三菱重工広島が延長制す ホンダに7−4


 第82回都市対抗野球大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)は第5日の26日、1回戦3試合。第1試合は三菱重工広島(広島市)とホンダ(狭山市)が対戦。三菱重工広島は延長十一回、福田の二塁打などで2死満塁とし、松永の走者一掃の右翼線三塁打で突き放した。八回途中から登板した酒井は完璧な救援だった。ホンダは4点差を追いついたものの、15残塁の拙攻が響いた。好投した3番手・筑川も最後に力尽きた。

 ◇都市対抗初安打が値千金…三菱重工広島・松永弘樹二塁手

 延長十一回、2死満塁。狙い球はなかった。「ストライクゾーンに来たら、何でも」。4球目、直球が高めに来た。逆らわずバットを出すと、低い弾道で打球は右翼線方向へ。右翼手が懸命に体を伸ばして捕球しようとするが、「抜けろ」の願い通り、走者3人を迎え入れる三塁打となった。

 第1打席は四球を選び得点に絡んだものの、第2、3打席はともに三振。だが、決勝打は出合い頭ではなかった。七回の第4打席、芯で捉えたと感じた打球三つがいずれもファウルに。そこで九回の第5打席では、わずかに打つポイントを前に調整したという。この打席は三振に終わったが、「感触はつかんでいた」。

 広島・広陵高から早大に進み、3年秋には東京六大学のベストナインに選ばれた。自身都市対抗初安打が値千金の一打になり、「素直にうれしい」と新人らしく喜んだが、中野監督は「もっと早く打ってくれればよかったのに」。手放しで褒めないところに、期待の大きさが表れている。【中村有花】

 ○…4−4の八回1死二塁から登板した三菱重工広島の酒井。走者を進めるのも避けたい状況に「飛球か三振でしのぐ」と決めると、低く内外角を突き、注文通り左飛と空振り三振に仕留めた。その後も一人も走者を許さず、「完全」救援。「リズムが生まれた」(中野監督)ことでチームは十一回に勝ち越した。9年間在籍したプロ野球・巨人を退団して入部した4年目右腕は「強豪相手に逃げずに投げたのがよかった」と胸を張った。

 ○…延長十一回、走者一掃の決勝三塁打を打たれたホンダ・筑川はマウンド上にしゃがみこんだ。「最後は我慢しきれなかった。勝って、若手にもっと登板機会を作りたかったけれど」。四回から3番手で登板すると、調子は良くなかったといいながらも一昨年の橋戸賞投手らしい要所を締める投球だった。「(決勝打は)あの直球を打たれたら仕方ない。楽しく投げられたし、すがすがしい気持ち」と129球の熱投に納得顔だった。

 三菱重工広島・中野学監督
 (4点リードした直後の)一回裏から我慢大会みたいな状態だった。同点で踏ん張ったのが大きい。

 ホンダ・長谷川寿監督
 初戦は難しい。好機を作りながらあと1本がなかなか出なかった。4点差を追いつくまではよかったが。

mainichi.jp(2011-10-26)