ホンダ、12年度国内販売17%引き上げ 軽強化で

 ホンダは2012年度の国内販売台数を今年度見込みより17%多い70万台に引き上げる計画を明らかにした。12月から来年度にかけて3車種発売する軽自動車を中心に販売を強化する。国内で比重が高まりつつある軽市場で反転攻勢をかけることで国内販売を上積みし、国内生産の維持につなげる考えだ。

 ホンダは10年度に国内で91万台を生産、31万台を輸出した。円高で輸出採算が悪化しており、今後は輸出を減らす方針。国内の販売台数を増やしていくことで輸出の減少分を補う。

 ホンダの11年度の国内販売台数は前年度並みの60万台の見込み。来年度は70万台に引き上げる計画を販売店各社に表明した。

 軽では5年ぶりとなる新モデルを12月に発売する。市場で人気の車高が高いワゴンタイプとする。「アイドリング停止機構」を搭載し燃費をより改善する。来夏のモデルも同タイプで荷室を広くする。来秋には1960年代に人気となった「N360」と似たデザインの軽自動車を投入する。軽を中心に取り扱う販売店を新たに展開する。

 軽以外でも今月発売する主力のミニバン「フリード」のハイブリッド車(HV)、年内に投入する多目的スポーツ車(SUV)「CR―V」の新型など売れ筋車種の品ぞろえを拡充。市場が伸び悩むセダンの新車投入は今後減らすとみられる。

 ホンダは06年度に国内で69万台を販売。そのうち軽は28万台を占めた。その後は小型車やHVなどに経営資源を集中、軽の販売は10年度に15万台と落ち込んだ。軽自動車は子会社の八千代工業で生産してきた。新型の軽は鈴鹿製作所(三重県)で一貫生産する。タイの洪水の影響は避けられる見通し。

 省エネ志向の高まりで国内市場では低価格・低燃費の軽の比率が現在の3割程度から高まっていくとみられる。トヨタ自動車が9月に軽自動車に参入、日産自動車と三菱自動車も共同開発に乗り出しており軽市場の競争が活発になってきた。

nikkei.com.(2011-10-21)