タイ、過去50年で最悪の洪水…日系工場も水没


 タイでは過去50年で最悪とされ、インラック首相は「バンコクも洪水の直撃を受ける」と市民に警戒を求めている。記録的な洪水は地球温暖化も一因とされ、各国で大洪水が恒常化する懸念もある。

 タイのキティラット副首相は8日、本紙に「洪水が広がり続け、非常に危険な状況だ。被害額はすでに300億〜400億バーツ(約742億〜990億円)にのぼる」と語った。

 タイでは北部や東北部の大雨でチャオプラヤ川の上流や源流域が洪水になり、山間部のダムからの放水で下流も氾濫を始めた。特に中部アユタヤの被害は甚大で、住民の女性(28)は「こんなにひどい洪水は初めて。家が水没したので親類宅に避難した」という。

 日系の自動車部品工場が集まる工業団地が水没したのに続き、ホンダの自動車工場がある別の工業団地も市の避難要請で大半の工場が停止した。アユタヤから離れたタイ日産自動車の工場も「部品調達が滞り、一部車種の生産を止めた」としており、部品工場の操業停止が自動車各社の生産に影響を及ぼす懸念がある。

 氾濫地域はバンコクに接近し、冠水が始まっている。

《追記》
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読売新聞(2011-10-09)