原発並み出力の太陽光 東大・シャープ、サウジで実験
100万キロワット級を砂漠で

 東京大学とシャープなどは独自開発の太陽光発電システムの大規模な実験をサウジアラビアの砂漠で実施する。日射量などを調べて実験地を決定し、年内にも開始する。5年後をメドに出力100万キロワット級の商用設備を現地に完成させ、原子力や火力に代わる主力エネルギー源を目指す。

 実験するのは太陽光をレンズで集める「集光型」と呼ぶ太陽光発電システム。東大とシャープは光を電気に変える変換効率が42%と世界最高レベルの太陽電池を開発済み。こうした先端技術などの実用化を日揮、Jパワー、日本政策投資銀行と目指している。

 サウジの国立エネルギー研究機関「アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市(KACARE)」と協力し、まず出力約10万キロワットの実証システムを設けて実験する。改良しながら出力を10倍に拡大していく。

 大半の太陽光発電所は出力が数十万キロワット。原子力発電所1基は100万キロワット前後なので、太陽光発電を主力エネルギーにするには同等かそれ以上の性能が必要になる。また、太陽電池の変換効率が10〜20%台と低く、広大な土地に多数並べないと発電量を稼げない。

 共同チームは変換効率が42%の集光型システムなら、少ない太陽電池で大電力を生み出せるとみている。広大な土地の確保が必ずしも必要ではなくなるほか、送電や建設のコストも抑えられ、電気代を既存電力レベルに近づけられるという。

 サウジは石油に代わる資源の確保が課題。実験の誘致は太陽光発電の関連産業を集積して育成する狙いもある。共同チームは実験を通じてサウジをはじめ海外企業などにシステムを売り込む考え。

 砂漠での太陽エネルギーの実験としては、アブダビ首長国で太陽の熱を利用する太陽熱発電システムの試みがある。太陽光発電システムの実験も各国が構想を練っているという。

nikkei.com(2011-07-09)