純利益、ホンダが初の首位 上場企業10年度

ドコモ3位に後退、日立・コマツ躍進

 日本経済新聞社が2010年度の上場企業の純利益額をランキングしたところホンダが初めて1位となった。01年度以降、首位はトヨタ自動車かNTTグループが独占してきたが、初の交代となる。東日本大震災の影響でNTTやトヨタの利益が伸び悩む一方、いち早く合理化に取り組んだホンダが浮上。金融危機後、赤字が続いていた日立製作所や東芝など電機大手の復権も鮮明となった。

  00年代に入りトヨタが上場企業の純利益額でトップを独走する状況が続いていたが、金融危機の08年度以降は比較的、業績の底堅いNTTグループが首位を保ってきた。

 ホンダは前の年度の5位からの浮上。金融危機後の合理化で収益体質が改善したところに、新興国や北米市場での販売好調が重なり、純利益はほぼ倍増。過去最高益だった08年3月期と比べても9割の水準に回復した。

 一方のトヨタは5位。海外販売の伸びなどで利益は倍増したが、最高益の08年3月期(1兆7178億円)に対しまだ2割強の水準。1ドル=80円台の円高が続く中、国内での生産比率が他社よりも高く、利益の足を引っ張った格好。リコール(回収・無償修理)問題も影を落とした。

 新興国市場の拡大などを追い風に復活が際立ったのが電機。日立製作所は1991年3月期以来、20年ぶりに最高益を更新し、12位に浮上。07年3月期から4期連続の最終赤字を計上していたが、合理化に加え、社会インフラ関連に注力し新興国需要を取り込んだ。東芝も半導体の好調などで最高益となった。

 コマツも新興国向けの好調で、採算の良い鉱山機械の売上高が過去最高となった。純利益は4.5倍となり、前の期の60位から16位に順位を上げた。ファナックも中国などアジア市場で販売を大きく伸ばし、順位を上げた。

 スマートフォン(高機能携帯電話)市場の追い風も大きい。ソフトバンクは「iPhone(アイフォーン)」人気で最高益を更新。09年3月期までは上位30位圏外だったが、14位まで順位を上げた。京セラもスマホ向けなど半導体が伸び、順位を上げた。

 12年3月期は東日本大震災の影響がランキングに表れそうだ。アナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサスによれば、ホンダの12年3月期の純利益は前期比4割減る見通し。「4〜6月期は国内生産が半分になる」(池史彦・取締役専務執行役員)。今年度は収益が急減速する自動車勢が順位を落とす可能性が高い。  

nikkei.com(2011-05-21)