自動車生産、6月まで半減か 部品の安定調達に不安


 東日本大震災で自動車の国内生産はほぼ止まっているが、自動車大手各社が本格的な生産再開は夏以降とみていることが明らかになった。電子部品を安定的に調達するめどが立たず、4〜6月期は前年の半分程度の生産台数にとどまる可能性が高くなっている。

 自動車大手では、ホンダが11日に、日産自動車が今月中旬に再開する。すでに一部で再開したトヨタ自動車は、18日から生産を拡大する。ただ、いずれも震災前の半分程度の生産台数にとどまる見通しだ。

 各社は震災後、取引先の部品メーカーの被災状況の把握を急ぎ、生産再開の準備を整えた部品メーカーもある。ただ、1台あたり3万点近くの部品を使う自動車は、一つでも欠けると生産できない。ある部品メーカー幹部は「まだ250種類の部品の調達が困難な状況」としており、工場に残った在庫部品などを使った小規模な生産にとどまる。

 さらに、最新型の自動車に欠かせない電子制御部品の一部は、早期の生産再開が難しくなっており、事態は深刻になりつつある。

 自動車1台あたり30〜100個も使われる「マイコン」で世界シェア4割の半導体大手ルネサスエレクトロニクスは、東北や関東の8工場が一時操業を停止。主力の那珂工場(茨城県ひたちなか市)は、7月まで再開が難しい状況だ。

 同社は自動車大手の支援も受けて生産再開の準備を進めており、海外への生産委託も検討している。だが、当面は在庫を出荷することでしのぐしかない状況で、自動車大手幹部は「在庫が切れたら生産を再び止めるしかない」。

 こうした電子部品は車種ごとに仕様が違う特注品で、他メーカーに代わりの製品を作ってもらうのは難しいという。

 各社は調達可能な部品を使って、少ない生産台数でも再開したい考えだ。ただ、マイコンはエンジンやエアバッグなど、幅広い機能に使われる。特に最新のハイブリッド車や電気自動車には不可欠で、その生産再開の可否が今後の自動車生産のカギを握っている。(西村宏治、野村周、久保智)

asahi.com(2011-04-07)