新東名、12年夏に一部開業へ 制限速度120キロ検討

中日本高速、静岡県内145キロで前倒し

 中日本高速道路は建設中の新東名高速道路を2012年夏に一部開業させる方向で近く検討に入る。全長約254キロメートルのうち静岡県内の約145キロメートルを先行して利用できるようにする。同区間の開業はこれまで13年3月末までとしており、約半年前倒しする形となる。新東名は東名高速道路の渋滞緩和などの狙いで建設され、国内最高の時速120キロメートルで走行できるよう調整する。

 新東名は神奈川県の海老名南ジャンクション(JCT)と愛知県の豊田東JCTを結ぶ。このうち静岡県内の御殿場JCT―引佐(いなさ)JCT(浜松市)をまず開業させる。新東名と東名を結ぶ2本の連絡道路(吉原JCT―尾羽=おばね=JCT、引佐JCT―三ケ日JCT)も同時に利用できるようにする。

 工事が予定よりも順調なうえ、地元の静岡県が地域活性化のため早期開業を求めており、開業を前倒しすることにした。新東名は東海地震で甚大な被害が懸念される区域を避けて設計されており、早期開業は大地震が起きた際に日本経済の物流を担う幹線道路の機能不全を避けるリスク管理の意味合いもある。

 制限速度は国内最高となる時速120キロを軸に検討する。現行の法定最高速度は時速100キロ。120キロの実現には警察庁と調整したうえで、法改正が必要だが、新東名は最もきついカーブの半径が東名に比べ5倍緩やかなど運転手の視界が広い点を訴え、理解を得たい考え。

 計画では新東名の残り約109キロメートルは20年度末までに順次開業する。254キロ全線の建設費は約5.2兆円。中日本高速にとっては、開業が早まれば料金収入が増えて、建設に使った借入金の返済が進む。残りの区間も経営負担の軽減につながる早期開業を目指す。

nikkei.com(2011-01-04)