都市対抗野球:東京ガスが接戦制し8強 ホンダは連覇逃す


 第81回都市対抗野球大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)は第8日の3日、東京ドームで2回戦3試合を行った。第3試合は、東京ガス(東京都)が、連覇を目指したホンダ(狭山市)を4−2で破り、昨年に続く準々決勝進出を果たした。

 ○東京ガス(東京都)4−2ホンダ(狭山市)●

 東京ガスが終盤に突き放して接戦を制した。二回に村上の左翼線へ落ちる幸運な適時二塁打で先制。八回は1死満塁で代打・黒田が走者一掃の右中間三塁打を放った。ホンダは九回に代打・上田と小板の連続適時打で2点を返したが、前半の度重なる逸機が痛かった。

 ◇東京ガス・榎田、昨年の王者翻弄…再三の危機、緩急で脱出

 前回大会の若獅子賞(新人賞)左腕が、昨年の王者、ホンダを翻弄(ほんろう)した。

 東京ガスの先発は1回戦に続き榎田。開幕試合だったNTT西日本(大阪市)との対戦では、一回に4点も援護をもらいながら、中盤に1点差まで詰め寄られ6回で降板。この日は、エースの誇りを示したいマウンドだった。

 前半の5回、毎回走者を出しながら、粘った。長打力のあるホンダに対して、「外角一辺倒では通用しない。内角をいかに使うかだと考えた」と捕手・松田。そのリードに、きっちりと応えた。

 四回2死三塁の場面は、松田の構えたミットよりさらにボール1個分内角を143キロの直球で突いて、佐伯を空振り三振。五回2死三塁は、ひざ元への直球で開田を揺さぶると、落差のある変化球で遊ゴロにうち取り、ピンチを切り抜けた。

 圧巻は八回、ホンダの主砲・西郷との対決。すでに球数は120球に近かったが、145キロのストレートで攻めてフルカウントとすると、最後は今季磨いたカットボールで意表をつき、見逃し三振に仕留めた。切れの良い速球に左右の変化球を織り交ぜた、絶妙の緩急。ホンダの安藤監督に「バッターに迷いが生じた」と言わしめた。

 九回にホンダの反撃に遭い、あと1死のところで同期の美馬に託した。試合後は「応援の人たちに喜んでもらいたかったし、チームを勢いづけたかった。完封したかったです」。少し悔しげに、次の目標を胸に刻んだ。【藤倉聡子】 

 ◇代打・黒田が八回、走者一掃の三塁打でダメ押し…東京ガス

 ○…東京ガスの勝利を決定的にしたのは、1点リードで迎えた八回、1死満塁から代打・黒田が放った走者一掃の三塁打。この場面から登板した狭山市の左腕・桜田に4球ファウルで粘り、フルカウントからの8球目、高めのスライダーを強打して、右中間を深々と破った。「ストライクを全部振った。ファウルを打つうちに球筋も見えた」と振り返った黒田。予選では中軸を打ち3割超の打率を残したものの、本大会は補強選手が入ったこともあり、1回戦では出番なし。「準々決勝は先発して、どんどん打ちたい」とアピールを忘れなかった。

 ◇九回、意地の反撃…ホンダ

 ○…八回までゼロ行進だったホンダ打線が九回、ようやく実力の片りんを見せた。先頭の多幡の中前打を口火に、2死一、三塁の好機を作ると、「とにかくつなぐしかなかった」という代打・上田の適時左前打で、まず1点。さらに続く小板も適時左前打で続き、そこまで抑えられていた東京ガスのエース、榎田をマウンドから引きずり下ろした。最後は主将・岡野が二ゴロに倒れて連覇の夢は破れたが、小板は「最後は意地を見せられた」と、悔しさの中にも手ごたえを語った。

mainichi.jp(2010-09-04)