65歳定年、英が廃止へ…日系企業にも影響か


 【ロンドン=是枝智】英国政府は、2011年4月から、65歳としている民間企業の定年制を廃止する方針案を明らかにした。

 半年間の移行期間を設けたうえで同10月から完全実施する。

 高齢化社会に対応するのが狙いだ。産業界は強く反発しているが、英国では緊急時などの場合、政府の権限で法改正できるため、実施は確実な情勢だ。

 政府は、財政悪化などを理由に、公的年金の支給開始年齢(男性は65歳、女性は60歳)を30年以上かけて段階的に68歳まで引き上げることを決めている。

 65歳超で働いている人が現在約80万人いることも踏まえ、定年制自体を廃止するのが適切と判断した。

 定年制を完全廃止にするのは珍しく、英国に拠点を置く日系企業にも影響を与えることになる。

 英国では06年、企業が年齢を理由に労働者を差別することを禁じるほか、65歳未満の定年を定めた企業の社内規定を原則無効にする「年齢差別禁止法」が施行された。

 日本では06年度に施行された改正高年齢者雇用安定法で、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入、定年制度の廃止――のいずれかの措置を講じるよう企業に義務づけている。

読売新聞(2010-08-08)