ホンダ、シビックをハイブリッド車に限定
「レジェンド」「エリシオン」開発中止

 ホンダは国内で販売する車種を削減する。主力セダン「シビック」はハイブリッド車(HV)に限定するほか、最高級車「レジェンド」、高級ミニバン「エリシオン」など看板車種の開発を中止した。当初計画では、いずれも2011年以降に全面改良して発売する予定だった。今後は低燃費の小型車や次世代環境車、インドなど新興国向けの超低価格車の開発に経営資源を集中する。

 同社はリーマン・ショック後の需要急減で計画を凍結していた寄居工場(埼玉県)の建設を再開し、13年をメドに稼働させる。三重県に予定していた軽自動車の新工場の建設は白紙に戻す。国内生産体制の見直しに合わせ、車種を絞ることで収益力の改善を狙う。

 シビックのガソリン車は来秋をメドに全面改良して世界各国で投入するが、日本では発売しない。モーターを併用するハイブリッド車モデルの「シビックハイブリッド」のみ全面改良し、来秋以降も国内販売を続ける方針だ。

 シビックはホンダが初の本格的な乗用車として1972年に発売した。国内最後発メーカーとして自動車事業に進出したホンダの経営基盤を築いた。トヨタ自動車の「カローラ」などと並び、日本のモータリゼーションを支えた。近年はセダン離れが進み、低燃費のハイブリッド車や小型車に人気が集まった結果、月間の販売台数が100台程度と低迷していた。

 高級車レジェンドの開発も中止した。ホンダが04年に発売したレジェンドは、世界初の四輪駆動制御技術と300馬力のエンジンを搭載し、ホンダの国内最高級車の位置付けだった。景気低迷で高級車の国内販売不振に拍車がかかっており、環境車などの開発を優先する必要があると判断した。

 ホンダのミニバンで最上位車種に位置付けていたエリシオンについても同様に、開発途中段階で中止した。

 ホンダは現在、国内で約20車種(軽自動車除く)を販売している。小型車の「フィット」や「フリード」、ミニバンの「ステップワゴン」の3車種だけでホンダ車販売全体の約7割を占める。開発資金や技術者など経営資源の分散を避けるため、販売が低迷する国内専用車のレジェンドやエリシオンは開発を中止することにした。現行モデルは今後も販売を続ける。

 ホンダは現在、埼玉製作所(埼玉県)、鈴鹿製作所(三重県)、子会社の八千代工業の四日市製作所(三重県)の3工場で四輪車を生産している。年間生産能力は計130万台。国内需要は減少が見込まれるうえ、海外生産への移管も進むため、将来は70万〜80万台程度に削減することを検討している。

nikkei.com(2010-07-16)