これまでトヨタはハイブリッド車を積極的に推進してきた。ハイブリッド車は現在普及期にあり、今後のメインストリームになる。EVについても、トヨタは1996年に「RAV4L V EV」を発売するなど従来から取り組んできた。電池技術の進歩により、EVの性能は大きく向上しているが、航続距離、充電時間、コストなどにおいて抜本的解決には至っていない。トヨタは2012年にEVを発売することを発表しているが、EVには航続距離に関する割り切りが必要である。2007年に日米欧で行われた実証実験では、ユーザーの半数は1日の走行距離が25km未満であった。EVに200km走行分のバッテリーを搭載しても容量の多くは使われず、車両のコストを押し上げる要素となる。一方、ハイブリッド・システムを持つことでEVの走行距離に関する不安を解消することができるプラグインハイブリッドは、走行距離やコストなどの点で現実的な提案となる(図2)。
ホンダは、環境対応車を「Honda Green Machine」と名付け、普及促進を進めている。その1つが「インサイト」 である。初代インサイトは1999年に発売された。そのハイブリッド・システムを進化させ、普及コストを達成したのが現在の2代目となるインサイトである。新型インサイトには、さらにエコアシストというシステムを搭載した。エコアシストは、スイッチを押すと燃費優先の制御を行う「ECONモード」、アンビエントメーターにより走行中のエコ運転状況を伝える「コーチング機能」、運転後にエコ運転の度合を採点しアドバイスを行う「ティーチング機能」の提供を通じて、ドライバーのエコ運転をサポートする。ドライバーにもよるが、エコアシストを使用することにより、約10%燃費が向上したケースもある。エコカーでは、燃費やエコ運転を競うことも新しいクルマの楽しみ方になる。