新企業評価「NICES」 1位はキリンHD(2位はホンダ)
業績・働きやすさ

 日本経済新聞社は日経リサーチ、日本経済新聞デジタルメディアと共同で、上場企業を業績や社員の働きやすさ、社会性などの広い観点から評価する新システム「NICES(ナイセス)」を開発し、ランキングを作成した。1位はキリンホールディングスで、働く環境の整備や業績の安定性など、各評価項目で高い得点をあげた。

 日経の総合企業ランキングにはCASMA(カスマ)とPRISM(プリズム)の2つがあったが、今回、この2つを発展的に統合。後継のランキングとしてNICESをスタートさせた。

 新しい企業評価では、企業を支える様々なステークホルダー(利害関係者)に目配りし、全体としてバランスのとれたランキングの作成を目指した。

 具体的には「投資家」「消費者・取引先」「従業員」「社会」の4つの指標を設定。まず各指標でのランキングを作成した。この際、公開情報に加え、各企業へのアンケート調査などを実施、幅広くデータを集めた。各指標の得点を合算し、総合ランキングとした。

 1位のキリンは「従業員」や「消費者・取引先」の側面で、特に高い点数を獲得した。育児休業や介護休業の取得人数が多かったことなどが、「従業員」での高得点につながった。また、新商品の開発やその広告宣伝を通じ、一般消費者への認知度が高いことが高評価の要因になった。

 2位は同点でホンダとキヤノンだった。両社とも各指標でバランス良く上位になったが、特に「社会」での得点が高かった。ホンダは雇用や納税、環境対策などの面で高い点数が入り、キヤノンは納税などに加え、社会貢献活動の幅広さでも評価が高かった。

 ランキング上位には広い業種の企業が並び、上位30社には製造業のほか金融や商社、電力・ガスの有力企業が顔を出した。金融危機後の需要の落ち込みで評価対象時期に自動車や電機など輸出企業の業績が悪化したため、これら企業の一部は「投資家」の指標で今回の点数が低くなった面がある。

nikkei.com(2010-04-14)