電動“ならでは”の価値と魅力
ホンダ「EV−neo」開発の本田氏

 ホンダが電動バイク「EV−neo」を12月に法人向けリースで発売する。以前にも売り出し普及しなかったが、“電動”ならでは魅力を前面に出し、リベンジに挑む。開発責任者の本田幸一郎・本田技術研究所二輪R&Dセンター(埼玉県朝霞市)研究員に、意気込みを語ってもらった。

 −−50ccのガソリンエンジンスクーターと同等の性能を目指したのか

 「実際に乗った人が違和感を覚えないように、ガソリンエンジンを意識し、いくつかの目標値を設定して開発したのは確かだ。ただ、ガソリンエンジンをベンチマークにしたら、電動バイクの良さを殺してしまうと考え、独自の開発をするように心がけた」

 −−電動バイク独自の価値とは

 「例えば、モーターの特徴として、出だしでトルク(回転する力)のピークを得られることがある。荷物を積んでの坂道発進などで、ガソリン車との乗り味の違いを感じてもらえるのではないか。また、開発している中で、乗り心地の滑らかさ、スムーズさも、新しい価値になると感じた」

 −−電動バイクの課題として感じたことは

 「電動バイク全般に言えることだが、バッテリーに走行距離が左右されることと、充電の必要があることだ。バッテリーの性能が、もう少しよくなることを期待している。ただ、今でも、十分に使用に耐えるうる水準にはたどりつけたと思う」

 −−1994年にも電動バイクをリース販売したが、普及しなかった

 「16年たったので、当然、技術の進化はある。例えば充電時間だ。当時のモデルはフル充電に8時間かかっていたが、EV−neoは急速充電器に対応し、20分で80%の充電ができるようになった。当時開発に携わったメンバーも一部残っており、そのままということではないが、ノウハウの伝承もあった」

 −−心臓部のモーターやバッテリーも独自に開発したのか

 「モーターについては、ハイブリッド車の『インサイト』や、電動カートの『モンパル』に使っているモーターのノウハウを生かして小型化を図り、内製できるようにもした。バッテリーは、二輪車に搭載するということで重量やスペースなどの制約が大きく、HVに使っているニッケル水素電池はバランス面でも搭載が難しく、リチウムイオン電池を選択した」

 −−配達などの業務向けに特化しているが

 「一部の業者から、環境対策として電動バイクを導入したいという声をいただいていたので、それに応え、ビジネスユース向けに狙い定めて開発した。開発では、荷物の積載を前提とし、使い勝手に配慮した。荷物を載せるデッキスペース、キャリアについても、想定する利用者から意見を聞きながら設計した」

 −−電動バイクの開発に挑戦して感じたことは

 「当初は知識がなかったため、戸惑いはあった。しかし、新しい技術にチャレンジできると思って、前向きに全力で取り組んだ。実用性とクリーンの両立を実現できたと感じている」

《追記》
  ☆本田技研工業情報「ビジネスユース向け電動二輪車「EV-neo」を 2010年12月に発売予定」ここをクリック

sankei.jp.msn.com(2010-04-17)