トヨタ集団訴訟で初審理、巨額負担の恐れも

 トヨタ自動車の大規模リコール(回収・無償修理)問題で、車の市場価値が下がったとして差額の支払いを求める全米各地の集団代表訴訟を併合するための初審理が25日、カリフォルニア州サンディエゴの連邦地裁で開かれた。

 米議会などの激しい批判は沈静化しつつあるが、訴訟に加えて司法の動きもあり、リコール問題は新たな局面を迎えている。

 AP通信などによると、トヨタ車の所有者による集団訴訟は138件起きている。交通事故の被害者や遺族による損害賠償訴訟も97件あり、トヨタ側の弁護士は米販売会社、米国トヨタ自動車販売(TMS)の本社があるロサンゼルス郡の連邦地裁で一括審理するよう求めた。

 原告側弁護士の推計では、米国のリコール台数約600万台に対し、仮に裁判所が保有者1人につき500ドル(約4万6000円)の支払いを命じれば、トヨタの負担額は最低でも30億ドル(約2760億円)に達する。これとは別に事故の被害者への賠償もあり得る。同州オレンジ郡の検察局も「車の欠陥を知りながら販売を続け、州民を危険にさらした」として制裁金を求める民事訴訟を提起した。

 米運輸省は「リコールの遅れ」に関して調査中で、トヨタの対応が米連邦法に抵触していれば、民事制裁金を科すことを示唆している。

 さらに、ミシガン州の検事総長は24日、意図しない急加速の原因などに関する文書の提出をTMSに命じた。ニューヨーク連邦地裁の大陪審と検察当局、米証券取引委員会も2月に同様の資料提出を求めており、リコール問題が刑事事件に発展する可能性もゼロではない。(ロサンゼルス=飯田達人、ニューヨーク=小谷野太郎)

読売新聞(2010-03-26)