原発14基を新増設…エネルギー基本計画原案

 2030年までの国のエネルギー政策の指針を定める経済産業省の「エネルギー基本計画」の原案が19日、明らかになった。

 原子力発電を「低炭素電源の中核」と位置づけ、30年までに少なくとも14基を新増設し、現在60%台の稼働率を90%に引き上げることなどが柱だ。新車販売はすべて次世代自動車とする目標を掲げるなど、これまでの原油の安定供給確保から、温暖化対策を重視したのが特徴で、政府が検討している地球温暖化対策基本法案の具体化に向けた行程表(ロードマップ)への反映を目指す。

 エネルギー基本計画は、エネルギー政策基本法に基づき03年に策定され、3年に1度改定される。24日の総合資源エネルギー調査会基本計画委員会に提示する。

 原案では、環境と成長の両立を最重要テーマに掲げ、「地球温暖化問題への対応」や「経済成長の促進」などを基本方針とした。

 原発については、「安全の確保を大前提に、新増設の着実な推進と稼働率の向上を図る」と明記した。

 家庭での温暖化対策としては、高効率の給湯器を全世帯の9割に普及させるほか、照明器具は発光ダイオード(LED)や有機ELなどの高効率照明にすべて置き換える。運輸分野では、自動車の燃費基準を1リットル当たり40キロ・メートル程度に引き上げることで、電気自動車やハイブリッド車など次世代自動車の普及を促進させる。

 また、エネルギー消費量のうち自国でまかなえる割合を示すエネルギー自給率も、海外権益分も含め現在の38%から70%に大幅に改善させる。

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 ◆2030年の主な目標(かっこ内は現状)◆
  • すべての新車を次世代自動車に。燃費基準を1リットルあたり約40キロに引き上げ
  • LEDなど高効率照明の普及率を100%に(1%未満)
  • 原子力発電は14基を新増設。稼働率を90%に向上(64・7%)
  • 太陽光、風力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーの発電全量の買い取り制度実施
  • 太陽光発電の発電量を2005年の40倍にあたる5300万キロ・ワットに

読売新聞(2010-03-20)