社会人野球:中日指名の諏訪部(ホンダ)
「ワンランク上へ」アマ残留

 アマチュア選手の多くが一度は目標とするプロ野球。社会人球界からは昨年のドラフト会議で18人が指名されたが、中日が6位で指名した右腕・諏訪部貴大(ホンダ)はチームに残留する道を選んだ。さらなるレベルアップで、まずは都市対抗連覇を目指す。

 昨年10月末のドラフト会議。6位で指名された時、諏訪部はホンダ残留をほぼ決めたという。「すぐに活躍できる土台ができていなくては、プロに行っても仕方ない。6位の評価は、自分にはまだ、やるべきことがたくさんあるということだと考えた」と言う。

 新潟・中越高から07年入社。昨年は、都市対抗南関東第1代表決定戦の日本通運戦に先発したことが「大きな経験になった」。五回途中の降板まで4失点。試合は勝ったが「打たれたし、制球もばらばらで、切り替えができなかった」。9歳上の捕手、佐伯亮に「お前が投げることはない」としかられ、「余裕も自信もなくマウンドに上がっているようではだめだと痛感した」と振り返る。

 雪辱を期した都市対抗本大会は、準々決勝の東芝戦で東京ドーム初登板初勝利。最速148キロの速球と制球のいい変化球が注目を集めた。「“6位”の悔しさをぶつけた」という11月の日本選手権は、3試合に登板し、1完封を含む2勝を挙げた。

 雪の多い新潟県小千谷市で育ち、中学時代は中越地区でスキーのクラシカル、フリー、リレーの3冠を獲得。本格的に野球に取り組んだのは高校からだ。プロ野球中継に見入った記憶もなく「プロへのあこがれはない」。だから、「自分が、しっかり仕事をできる舞台だと確信できなくては……。単にプロの世界に足を踏み入れるだけでは、仕方ない」と考えている。

 エース級の活躍が期待される今年は「まずは都市対抗連続出場。そして連覇。一つずつ目標を達成したい」。この冬は「ワンランク上の投球を目指して」切れとスピードを増すために体を絞り、フォームの改善にも取り組む。その先に「納得して、うれしい気持ちで行けるならば」と、プロへの挑戦も視野に入れている。【藤倉聡子】

mainichi.jp(2010-01-04)