小惑星と地球の衝突防げ
 ロシア、ロケット打ち上げ検討

 【ワシントン=勝田敏彦】約20年後に地球に接近する小惑星が、万が一にも地球に衝突しないように小惑星の軌道を変えるため、ロシア宇宙庁がロケットの打ち上げを検討していることがわかった。AP通信が伝えた。実現すれば、小惑星衝突から地球を救う映画のような話が行われることになる。

 問題の小惑星は2004年に発見された直径約270メートルのアポフィス。米航空宇宙局(NASA)の09年の計算によると、29年4月に静止衛星の軌道より地球に近い約3万キロを通過。36年には25万分の1という非常に低い確率だが、衝突の可能性がある。

 同宇宙庁のアナトリー・ペルミノフ長官はロシアのラジオ局に「地球に接近し、衝突の可能性があると聞く。特別な宇宙船で衝突回避が可能だ」と述べた。近く、NASAや欧州宇宙機関、中国国家航天局の担当者を招いた会議を計画している。

 衝突を避けるため、宇宙船をぶつけるなどで軌道を変えることが考えられる。米映画「アルマゲドン」では小惑星を核兵器で破壊して衝突を避けようとするが、ペルミノフ長官は「核兵器は使わない」としている。

 米科学アカデミーによると、直径140メートル以上の小惑星が都市や周辺に落下すると、住民や生態系に深刻な影響が出ると考えられている。

asahi.com(2010-01-04)