自動車の燃費、3割向上義務づけ 平均リッター21キロ



 国土交通省と経済産業省は2日、自動車の燃費規制を強化する方針を固めた。2020年度を目標年次とする新たな燃費基準を設定。07年度実績より少なくとも34%の燃費向上を義務づけ、燃料1リットル当たりの走行距離を21キロ以上にする方向だ。07年に制定済みの15年度目標より14%以上高くなる。二酸化炭素(CO2)排出量の削減が狙いで、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)といったエコカーの普及を加速させそうだ。

 07年度実績の乗用車の平均燃費は15.7キロで、10年度目標の燃費基準(15.3キロ)をすでに達成した。15年度の燃費基準は、車の重さに応じた16区分で目標を設定し、平均燃費目標は現行の計測法で18.5キロだ。自動車メーカーに達成を義務づけており、15年度以降販売の新車で達しなければ会社名公表や罰金などの罰則もある。

 両省は2日、地球温暖化対策などに向けた合同作業チームを開催し、新燃費基準策定を打ち出した。関係者によると、新基準は20年度を目標年次とし、平均燃費は少なくとも21キロとする方向で議論している。15年度までの20年間の改善ペースを維持できれば、21キロを達成できるという。

 欧州連合(EU)は15年までに19.3キロ、米国は16年までに15.1キロにする燃費基準をそれぞれ設けている。計測方法が異なるため単純比較はできないが、日本の基準はトップレベルにある。

 ただ、EUの欧州委員会も20年を目標に燃費を24.5キロにする規制強化策の検討を進めている。このため、両省はこれらの議論の行方もみながら、21キロ以上の目標設定を探る。重量区分ごとに基準を設定してきた従来の方法の変更も検討し、12年度をめどに正式に決める。

 しかし、現状で軽自動車を除くガソリン車で燃費21キロを達成できている車種はわずかで、燃費改善余地も徐々に少なくなってきている。一方、トヨタ自動車のHV「プリウス」の燃費は38キロだ。新基準が導入されれば、自動車メーカーは軽量化など一層の燃費改良努力に加え、HVや走行時に化石燃料を使わないEVなどエコカーの積極投入も迫られそうだ。(大日向寛文)

asahi.com.(2009-12-02)