ホンダ、小型車部品の海外調達拡大へ
 1割→3〜4割に

 ホンダは6日、国内工場で生産する小型車の海外部品比率(金額ベース)を、15年までに現在の1割から3〜4割まで引き上げる方針を明らかにした。新興国メーカーの台頭で、今後小型車の低価格化が進むなか、アジアなどから調達する安い部品を使って競争力を高める狙いだ。

 対象車種は、同社の国内販売台数では最多で一部を輸出に回している「フィット」や軽自動車など。台数ベースでみれば、09年度の同社の国内生産計画91万台の少なくとも半分にのぼる見込み。車の全面改良ごとに順次実施し、15年までに完了させる構えだ。

 同社は中国やインドなど低価格車が得意な新興国メーカーの競争力向上を警戒。山下雅也常務は「日本人にしかできないと殻に閉じこもっていると、敗者になる心配がある」と話し、海外部品の調達を積極的に進める考えだ。

 国内新車販売市場の縮小に円高傾向も続き、同社は中長期的な国内生産台数が、07年度(129万台)より約30万台少ない年100万台程度になると見ている。これを前提に、海外からの部品調達拡大に加え、生産体制の見直しも検討している。傘下部品メーカーには年70万台生産でも経営がなりたつよう、経費削減などを要請した。

 同様の動きは、ほかの国内自動車メーカーでも加速している。日産自動車の現在の海外部品比率は、全車種で2割ほど。今後も増やしていく方針で、日産は将来的に4割ほどに達する可能性があるとしている。

 三菱自動車は韓国や台湾、タイ、マレーシアからの部品輸入の拡大を検討。益子修社長は「これまで(海外調達に)手をつけてこなかった、高価格の部品にも挑戦しないといけない」と話す。ただ、こうした流れが強まると、自動車産業の空洞化が一層進み、国内の雇用情勢の悪化につながるおそれもある。(大日向寛文)

asahi.com.(2009-11-07)