ホンダ、「伊東改革」着々 エンジンも聖域にあらず

 ホンダが変わろうとしている。世界の生産体制を抜本的に見直し、効率化を追求。創業以来のエンジン主体のものづくりからも脱却する。改革を先導するのは6月末に就任した社長の伊東孝紳(56)だ。100年に1度といわれる危機を乗り越え、激動の世界市場で存在感を示し続けられるか。聖域なき改革の行方はホンダの未来を大きく左右する。(敬称略)

 「このまま日本中心でいいのか。1ドル=80円台だと輸出では採算が合わないよ」。9月下旬、東京都港区のホンダ本社。伊東は会議室の壁にかかった株価表示ボードを見ながら声を荒らげた。

 ホンダが2008年に国内で生産した自動車は約130万台。その5割超を海外に輸出した。1ドル=110円程度なら輸出で大きな利益を確保できた。金融危機後の需要減と円高で状況は一変。今後有望な新興国では地場メーカーとのコスト競争も激化する。「生産と開発を世界中で補完し合うフレキシブルな体制の構築」。これが厳しい時代を生き抜くため、伊東が出した答えだ。

nikkei.co.jp(2009-11-09)