鳩山首相、かつて居酒屋経営
 良心価格過ぎ?3年で幕

  
 首相に就任した民主党の鳩山由紀夫代表は、かつて東京・新橋の居酒屋の「大将」だった。信条である「友愛」を貫いた店だったが、3年4カ月で閉じた。「良心的な値段に抑えたために経営が厳しくなった」ことも、閉店の一因だったという。

 居酒屋「トモト」が新橋駅烏森口にできたのは02年8月。「友と語らう場」という意味で名づけた。「鳩山さんは、普通に暮らす人の声に耳を傾け、親しく語れる場所を求めていた」。店の経理を担った平山誠・参院議員(57)=新党日本=は振り返る。

 「居酒屋こそ民主主義の原点」が口癖の鳩山氏は当時も党代表。同年12月に代表を辞任するが、店には週に一度は顔を出し、調理着に袖を通して客と語らった。

 「酒なんか飲まずにまじめに政治やれ!」となじるサラリーマンに笑顔で接し、最後には「鳩山がんばれよ」と励まされた。政治に関心のないOLには「ホントに政治家なの?」と驚かれたという。

 「芯は強いが、話し上手、聞き上手。真剣に人の話を聞き、和やかに自分の思いを伝えていた」と平山氏。03年9月に合併した自由党首の小沢一郎氏も時折訪れていた。ちなみに鳩山氏は酒が強く、日本酒を一升飲んでも乱れないという。

 つくね串を「鳩棒」と名付けるなど、鳩山代表にちなんだメニューも並んだ。だが、どのつまみも数百円に値段を抑えたため、客単価は1500円ほどにとどまり、売り上げは伸びなかった。

 ビルの建て替えなどもあって05年末に閉店した。鳩山氏は「3年間楽しませてもらった。いろいろな方々にお目にかかれたのは幸せだった」と話したという。(石田博士)

asahi.com.(2009-09-16)