ホンダ社長「国内生産100万台に抑制」海外に重点

 ホンダの伊東孝紳社長は10日、朝日新聞のインタビューに対し、国内の四輪車生産台数を年間100万台に抑える方針を明らかにした。ホンダはこれまで「国内150万台体制」を打ち出してきた。今後は新興国を中心に低価格車競争が激化するとみており、販売が本格回復した際に海外生産に重点を置いた方が、コスト面で有利と判断した。

 ホンダは06年5月に「150万台」を目指すと表明。伊東社長は今後の中期的な国内生産台数について、「年100万台というのが一つの大きな台数。(1ドル=92円という円高水準の)現在の為替を見るとそれも多すぎるレベルだ」と話した。

 現在の国内生産能力は年130万台。「100万台」は09年度の生産計画の90万台は上回るものの、07年度実績の129万台は大幅に下回る水準だ。07年度は国内生産のほぼ半分を輸出に回したが、伊東社長の発言は、海外での生産の比重を高める方針を示したものだ。

 ホンダは能力を150万台にするため、寄居工場(埼玉県寄居町)を建設中だが、販売の低迷で稼働時期を10年から12年以降に延期している。伊東社長は「狭山工場(埼玉県狭山市)の生産を減らしたら、寄居工場を増やす」と発言。寄居の稼働と同時に、狭山の2本ある車両組み立てラインのうちの1本(生産能力年25万台)を休止し、全体の能力は増やさないという。雇用は維持するという。(大日向寛文)

asahi.com(2009-09-10)