都市対抗野球:Honda鈴鹿、藤本瞬が11K完投勝利

 第80回都市対抗野球大会(毎日新聞社・日本野球連盟主催、東京ドーム)第5日の25日は2回戦3試合。第2試合は、2年ぶり出場のHonda鈴鹿(ホンダ鈴鹿、鈴鹿市)先発・藤本瞬が、セガサミー(東京都)打線に対し11奪三振、被安打3の好投を演じ無四球完投。3−1でチーム4年ぶりの本大会1勝を挙げた。

 ○Honda鈴鹿(ホンダ鈴鹿、鈴鹿市)3−1セガサミー(東京都)●

 ホンダ鈴鹿の藤本瞬が好投した。左腕から伸びのある直球と変化球を両サイドに投げ分け、無四球で完投した。打線は二回に渡辺の犠飛で先制し、五回は早川、具志、平手の3連続長短打で2点を加えた。セガサミーは藤本瞬に11三振を喫し、3安打1点に抑え込まれた。

 ▽ホンダ鈴鹿・與本敏弘監督 上津原君を前半で(マウンドから)降ろせたのが勝因。決め球のシンカーへの対応を徹底させた。

 ▽セガサミー・佐々木誠監督 藤本瞬は思った以上に直球が来ていた。(目標の2勝目には)全員もう1段階レベルを上げる必要がある。

 ◇藤本瞬投手=ホンダ鈴鹿(鈴鹿市)

 ◆「自分に100点」…11奪三振と無四球

 167センチの小柄な体が、ひときわ大きく見える投球だった。低めを突く直球は、130キロ台後半の球速以上に切れがあった。そのため東京都の打者はチェンジアップに手を出し、スライダーに惑わされた。奪三振数11。無四球での完投は「高校(愛媛・今治南)の練習試合以来かな」と、自分でも驚く。

 ルーキーだった2年前、1回戦の太田市(富士重工業)戦で、初めて東京ドームのマウンドを踏んだ。2点リードの八回、1死一、三塁の場面でリリーフしたが、3安打を浴びて3点を失い逆転負け。直球しか投げられず、狙い打ちされた。それ以来、変化球で打ち取るすべを磨いてきた。「2年前はドームの雰囲気にのみ込まれたが、今回は応援歌もはっきり聞こえた」

 八回、チェンジアップが真ん中に入り、東京都の石川に左越え本塁打を許した。それでも「完封は意識してなかった」と、勝利だけを目指した。

 「自分に100点をあげたい」。自身の直球とピッチングに自信を深めた一戦だった。【黒尾透】

 ○…ホンダ鈴鹿は、ホンダから移籍1年目の1番・早川が、セガサミーのエース上津原攻略の道をつけた。「リズムをつかませてはいけない」と一回、いきなりファウルで7球粘った。球に食らいつく間に、「球筋や球種が見えてきた。引っ張ったらゴロの山を築かされるだけだと分かった」と、12球目を左打席から左前へはじき返した。五回の打席では、外の球を逆らわず三塁線へ運んで二塁打とし、この回2得点の端緒となった。「簡単にはアウトにならない、自分の持ち味で貢献したい」と早川。ようやくなじんできたという新天地での活躍を期している。

 ○…完封した初戦から中2日での登板となったセガサミーの先発・上津原は「疲れがないとは言えないが、それだけの練習は積んできたので……」と言葉を濁した。四回までは犠飛による1失点でなんとかしのいだが、五回1死から3連続長短打を浴びて降板。「いい球と悪い球がはっきりしていた」と振り返った。2年連続で初戦を完封しながら、ともに次戦に登板して敗退。24歳のエースは「調子の良くない時にどう心とボールをコントロールするか」を、次のステップへの課題に挙げた。

mainichi.jp(2009-08-26)