都市対抗野球:ホンダ鈴鹿、東京ドームへ

◇接戦制し、第6代表−−2年ぶり19回目の出場

 やったぞ、東京ドームだ!−−。第80回都市対抗野球大会東海地区2次予選(日本野球東海地区連盟、毎日新聞社主催、ミニミニ、ミニテック協賛)は2日、ナイターで第6代表決定戦を行った。ホンダ鈴鹿(鈴鹿市)は主軸の早川辰徳、平手敬介両選手らの活躍で、三菱重工名古屋(名古屋市)に快勝し、2年ぶり19回目の本大会出場を決めた。大声援でチームを支えた応援スタンドからは、試合終了と同時に色とりどりの紙テープが舞い、選手たちを祝福した。【井上章、大野友嘉子】

 ホンダ鈴鹿にとって、この日の試合は3勝3敗の苦しい道のりを経て、やっとたどり着いた大一番だった。「きょう必ず決める」。ナイン全員が堅い決意を胸に試合に臨んだ。

 試合は互いに小刻みに得点する接戦に。応援スタンドは好機に盛り上がり、ピンチには息をのむ展開が続いた。一喜一憂するスタンドとは反対に、今季スローガンに「辛抱」を掲げた選手らに焦りはなかった。

 同点で迎えた六回、具志賢三主将とこの日4安打と大当たりのスイッチヒッター、早川選手が連続適時打し2点をリード。チームの粘り強い戦いぶりに、與本敏弘監督の妻秀子さん(41)は「私が応援に来れば絶対負けない」と、早くも勝利を確信し熱心に声援を送った。

 妻の「読み」は監督勝り。八回にも4番・平手選手が巧みに中前にはじき返して決勝点を挙げた。投手計5人の総力リレーで逃げ切った。優秀選手賞には平手選手が選ばれた。

◇全員で勝ち取る−−與本敏弘・ホンダ鈴鹿監督

 苦しい試合が続いたが全員の力で(本大会出場を)勝ち取ることができた。トーナメント戦に入ってから、チームは精神的にも一戦一戦成長した。東京ドームでは一つでも多く試合をしたい。

◇焦らず冷静に戦う−−具志賢三・ホンダ鈴鹿主将

 チーム一丸で勝て最高にうれしい。逆転されたり同点に追いつかれたが、代表決定戦はそう簡単に勝てる試合ではないので、焦らず冷静に戦えた。

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 ■焦点

 ◇直球中心、真っ向勝負−−ホンダ鈴鹿・藤本瞬投手(24)

  「今年こそ、チームメートと東京ドームへ」。ホンダ鈴鹿の藤本瞬投手が、昨年味わった悔しい思いを胸に、大会を通して気迫みなぎる投球をみせた。

 藤本投手は愛媛県出身。剣道家だった父から「常に一流を目指せ」と、厳しく育てられた。中学1年で野球を始め、高校では「将来のため、最も練習が厳しい投手を」と、野手から転向した。大学で活躍し、2年前に現在のチームに入部。ルーキーとして初出場した第78回東海大会では、代表決定戦で1安打完封するなど大活躍した。

 しかし、昨年はチームがまさかの予選敗退。実力を買われて西濃運輸(岐阜県大垣市)の補強選手として東京ドームのマウンドに2年連続で立ったものの、達成感は乏しかった。「来年こそ」と心に誓った。

 そして迎えた今年の大会。藤本投手は2次予選7試合すべてに登板し、強豪チーム相手に、直球中心の強気の投球で真っ向勝負を挑んできた。

 待ちに待ったゲームセットの瞬間、グラウンドは興奮のるつぼと化した。ナインと抱き合い祝福し合った身長167センチの投手は、「今度は東京ドームで初勝利を」と、早くも次の目標を口にした。【井上章】

mainichi.jp(2009-07-03)