国内専用車のホンダ「フリード」、
共用化率高めてコスト抑える

 ホンダの新型ミニバン「フリード」は月間4000台の販売台数を予定する国内専用車。グローバルに生産・販売する「フィット」に比べて計画台数が少ないため、フィットなどとの共用化率を高める、高張力鋼板の適用を抑えるといった工夫によって開発・生産コストを抑制した。

 まず、プラットフォームはエンジンルーム隔壁から前の骨格は基本的にフィットから流用したほか、ストラット式のフロントサスペンションや、トーションビーム式のリアサスペンションも、フィットから流用している。

 シートも基本的に流用である。フロントシートは、フィットと同様に「アコード」のフレームを使い、2列目シートや3列目シートは「ステップワゴン」のものを流用するといった具合だ。このほかドアミラーもステップワゴンと同一である。これらによって流用化率は部品点数ベースで4割程度に達しているという。

 また、高張力鋼板の使用比率はフィットが従来モデルから14ポイント高めた54%であるのに対し、フリードは40%程度に抑えた。これは軽量化には不利だが、従来の「モビリオ」と比べた場合、全長が145mm拡大したにもかかわらず車両質量は20kgしか増えていない。

 ポイントはボディ骨格の構造の見直し。質量を抑えるのに最も効いたのは、車体の荷重分散構造。フィットと同様に、フェンダー側にフレームを追加することで衝撃吸収能力を高めた。これによって、サイズ拡大によりそのままの構造では15kg程度増加するボディ質量について、10kg分の軽量化効果を得られたという。高張力鋼板をあまり適用しなかったのは主にフロア周り。クロスメンバなどフロアに通す骨格の断面形状を大きくすることで剛性を稼ぎ、強度の低い材料で代替した。 <<林 達彦=日経Automotive Technology>>

techon.nikkeibp.co.jp(2008-06-06)