ホンダがCIGS型太陽電池の技術内容を初公開,驚きのデータが続々と

 ホンダは,同社が2007年10月に全国販売を始めたCIGS型太陽電池に関して,初めて技術的な内容を公開した。参加者からは,「変換効率のばらつきが他社に比べて少ない」「1997年からの開発の進捗が興味深い」など,初めて明らかになるデータに驚きの声が聞かれた。ホンダエンジニアリングとホンダソルテックの連名で発表した。

 ホンダによると,1997年から研究開発を始め,1999年には基板面積0.5cm角で変換効率18.1%を実現していた。その後,実用化に向けて基板面積の拡大に舵を切る。その結果,2002年には基板面積10cm角でモジュール変換効率10.4%に,2003年には20cm角で11.2%,2006年には73cm×92cmで12.7%,2007年には同じ面積で13.9%と,次々と記録を更新していった。

 ホンダは,同社のCIGS型の技術的な特長を3つ挙げた。(1)セレン化工程,(2)Naの塗布工程,(3)InSバッファ層である。(1)と(2)は,基板に低アルカリ・ガラスを使う点に起因している。(1)セレン化時に,既存のガラスでは難しい500℃以上での加熱が可能なために,結晶性の高いCIGS層が形成できる。(2)通常のガラスでは,ガラスに含まれるNaが拡散して結晶性が改善する。低アルカリ・ガラスではその効果が期待できないために,外部からNaを補う必要がある。その際に,自動車の塗装時に使うスプレー・ガンでNaを含む溶液を塗布している。(3)のバッファ層は,通常はCdSを使う場合が多いが,Cdの使用を避けてInSとした。

 ホンダが現在量産中のモジュール変換効率の平均値は11.1%で,最高値は11.6%である。パイロット・ラインでは最高値12.2%を実現しており,順次量産ラインへと技術を移管する計画である。 (河合 基伸=日経マイクロデバイス)

techon.nikkeibp.co.jp(2007-12-07)