米クライスラー、投資会社サーベラスが買収へ

 自動車大手ダイムラークライスラーは、業績不振に陥っている北米クライスラー部門を米投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントに売却することで合意した。大西洋をまたぎ、業界再編の火付け役となった「世紀の合併」は、相乗効果を見いだせぬまま8年余りで終止符が打たれることになった。米ビッグ3の一角である「クライスラー」が投資会社の手に渡るのは異例の展開だ。

 ダイムラークライスラーは98年、ドイツのダイムラー・ベンツと米クライスラーの合併で誕生し、自動車業界の世界再編の先駆けとなった。しかし目立った相乗効果が発揮できぬまま交互に大規模リストラを繰り返してきた。とくにクライスラー部門は、燃費効率の悪い大型車への依存度が高く、退職者の医療や年金などの「レガシーコスト」も足を引っ張り、ドイツ側の株主を中心に、クライスラーの売却を求める圧力が高まった。

 ダイムラーは自動車最大手米ゼネラル・モーターズ(GM)などとも交渉したが折り合わなかった模様で、複数の投資ファンドや自動車部品メーカーが売却先候補と目されていた。

asahi.com(2007-05-14)