「今冬ずっと少雪」 春までエルニーニョ予測

 昨冬の豪雪から一転、この冬は記録的な暖冬、少雪となっている。気象庁は、世界各地に異常気象をもたらしているエルニーニョ現象が一因とみている。赤道周辺の海水温の異変が、「西高東低」という日本の冬型の気圧配置を崩しているためだ。4年ぶりのエルニーニョ現象は春まで続くとみられ、日本海側の少雪傾向は変わらない見込みだ。

 エルニーニョ現象は、ペルー沖から太平洋中部赤道域の広範囲で海水温が上昇する現象。東風の貿易風を弱め、世界規模で大気循環を変えてしまう。今年になって、東シベリア西部からロシア西部では平年より3〜4度高い状態が続き、米国南部からメキシコ北部では異常低温が続いた。

 日本に影響を与えているのが、インドネシア付近の対流活動。いつもの年は活発で雨が多いのに、この冬は好天が続く。気象庁によると、この周辺での気圧の変化で、日本の南東海上に高気圧ができやすくなっているという。

 このため、「西高東低」と言われる冬型の気圧配置が続かなくなっている。大陸からの冷たい北西風が日本海を通り、対馬暖流の暖かい水蒸気の供給を受けて雪雲が発達し、日本海側に大雪をもたらすパターンが極端に少なくなっている。北陸では平年の9%しか雪が降っていない。

 日本の南東に高気圧ができやすくなっているため、この高気圧の西端を回り込むように南からの湿った暖かい風が入り込み、列島全体の気温を押し上げている。

 気象庁は、エルニーニョ現象は春まで続くとみており、日本海側は少雪が続く可能性が高いという。太平洋側は雨量は多めで、寒気の南下などで冷え込めば、雪が降る可能性はあるという。

asahi.com.(2006-01-28)