「無限」社長、判決後会見
「負けない気で頑張った」


 自動車エンジン製造会社「無限」(埼玉県朝霞市)の脱税事件で、法人税法違反の罪に問われた同社社長本田博俊被告(64)に25日、無罪を言い渡したさいたま地裁の下山保男裁判長は、理由について「不正経理を認識していたかについて疑いが残る」と述べた。

 下山裁判長は、本田被告が〈1〉会社経理について自ら外部に監査を依頼している〈2〉自分だけが不正を知らないのではないかと疑う記述を当時の自分の手帳に残している――ことなどを理由に「脱税の認識がなかったと考えられる」とし、同地裁が23日に懲役3年の判決を言い渡した元監査役広川則男被告(63)との共謀を否定した。

 無罪判決後、会見した本田被告は、逮捕からの3年間を振り返り、「やっていないのに『やっただろう』と責められ、絶対に負けないという気持ちで頑張った」と笑顔を見せた。ただ、会社は罰金2億4000万円を言い渡されており、「自分が(社長として)しっかりしていなかった」と頭を下げた。

 さいたま地検の粂原研二次席検事は「主張が認められず、遺憾。上級庁と協議し、適切に対応したい」とのコメントを出した。

読売新聞(2006-05-26)