米、カナダ産原油にシフト・テロ懸念なく安定

 【シカゴ=山下真一】米国のカナダへの原油依存度の高まりが鮮明になってきた。今年1―9月のカナダからの原油輸入量はサウジアラビアやメキシコを上回り、通年でも昨年に続き最大の調達先になるのは確実。オイルサンドという砂の層から抽出・精製した原油の生産技術が進み、価格が安くなったことに加え、カナダが政治的に安定していることも調達先としての魅力を高めている。

 オイルサンドは地中からタール状の物質を掘り出して重質原油を抽出し、通常の原油並みの性質になるまで精製したもの。カナダのオイルサンドの埋蔵は西部アルバータ州に集中。技術の進歩で精製コストが下がり、地元の業界関係者は「原油相場が1バレル20ドル程度でも採算が合うようになった」という。現在の60ドル前後だと大きな利益が出るため、石油会社の参入希望が後を絶たない。

nikkei.co.jp(2005-11-28)