植林ボランティア
===森林の手入れ===

 春から初夏にかけ森の緑はその濃さを一段と増す。今年も仲間達と奈良俣の緑の手入れに出かけることにした。梅雨の合間の曇天だが作業の為には雨さえ降らなければ好天だ! ・・・に恵まれる中、主催者の作業要領の説明を受けたあと下草刈と除伐に入る。
 午前と午後の作業だが気温27℃、湿度は前日の雨の後で極端に高い。作業地まで1km弱の坂道を登っていくがもう汗でびっしょりだ。
 下草刈は今まで植林したブナなどが周辺の雑草や山イチゴ、ニセアカシヤ、漆、つる草等で、覆い隠されてしまっているので刈り込みをし、幼木へ光を当てる事また風通しを良くして成長を促す事のために行なう。この作業は鎌でひき切りをするのだが雑草に覆われているので傷つけてしまうので細心の注意を要する。

 除伐は木の生長に合わせ、木の間隔を空け風の流通を良くする事、残った木を太く大きく育てる事のために行なう作業。今回は奈良俣の傾斜地の直径15〜20cmのハンの木を対象に実施した。傾斜地30度くらいのところに真っ直ぐ生えた木や冬の雪で45度位傾いた木など様々だ。
 伐採の要領はまず木の径に直角に3分の一程鋸で切り込む、次にこの切り込み先に向け45度に楔状に上方から切りV字状にする、この時倒す方向は周辺の間隔と倒せる隙間で決めその方向に鋸の切り面を向けて切る。ここまでやったら今度は楔状の反対側で切り面の3〜4cm上を径と直角に切る、こうすると鋸歯がV切り込みに到達する前に、寸前で裂けながらバリバリとけたたましい音を立てて倒れる。 この時の音はまるで木が断末魔の悲鳴をあげているようにすら聞こえました。一瞬今までの緑と酸素を有難うと念じた次第です。
 この時の注意点として指導員の方に教わった事は、まず木が倒れる寸前は切り口から4〜5m逃げる事、そうしないと倒れた木の反動で切り口端が2m位跳ね上がる事があり、人間が吹っ飛ばされ大怪我をすることがあるとの事、実際やってみると倒木が地上に倒れこんだ瞬間切り口は跳ね上がりで木全体が波打ち躍り上がった、あらためて恐ろしさも体験出来ました。又倒す方向を良く見極めてやらないと切り終わっても隣の木にひっかかり倒す事が困難になるばかりでなく危険を伴うので注意を要する重要なポイントと言うことでした。

 数時間体験の除伐でしたが頭での理解とは異なり、実際の林は傾斜厳しく雑草や蔓に足を取られすごく作業がやりにくかった。
 説明やお話で判ったつもりでも現場ではマニュアルのようにいきにくい場合が多く、物造りと同様、現場 現実 現物と実体験の大事さを痛感しました。
 一日良い汗をかき最後に林を皆で見回すと、地面の雑草が刈り取られ、幼木がいかにも涼しげに有難うと言っているように見えました。 奈良俣の木達よ! また会いましょう!   (HM植林ボランテイアに参加して)

《追記》
☆本田技研工業情報:埼玉製作所 『ボランティアによる「水源の森」(利根川)整備事業』ここをクリック

記:貝吹 繁雄(2005-06-26)