実は割高なハイブリッド車の保有コスト

 米自動車情報サイトEdmunds.comはハイブリッド自動車とガソリン車との5年間の出費を比較し、ハイブリッド車のほうが割高であるという分析結果を発表した。

 最近のガソリン価格の高騰により、燃費の良いハイブリッド車の人気は過熱している。しかし、同等性能車種よりも購入価格や保険料が高いことから、省燃費や優遇税制といったハイブリッド車の出費面でのメリットは相殺されてしまうという。

 「環境への負荷を気にしている人、ハイテク好きな人はハイブリッド車を買っているが、ただ出費を抑えたいだけの人は、ハイブリッド車の費用を慎重に検討すべき」(Edmunds.comのPhil Reed氏)。

 調査では、同一メーカーのハイブリッド車と非ハイブリッド車を対象に、購入から5年間の保有コストを比較した。トヨタ自動車のハイブリッド車「Prius」と「Corolla LE」を比較すると、Priusのほうが5283ドル(約57万円、1ドル=108円換算)高いという結果になった。Ford社「Escape」や、ホンダ「Accord」「Civic」も同様にハイブリッド車のほうが高かった。Priusと「Camry LE」を比べた場合のみ、ハイブリッド車のほうが81ドル(約8700円)安くなった。

 なんとしてでもハイブリッド車で得するには、Escape Hybridの場合、ガソリン価格が1ガロン当たり5.6ドルと現状の倍以上に高騰すればいい。そうすればベース車両Escape XLT(AWD)との差額は、5年間で相殺できる(年間走行距離を1万5000マイルとして計算)。あるいは、燃料代が現状の2.28ドルのままだったとしても、年間3万7000マイル(5万9500km)走行すれば5年間で元が取れる。

 ハイブリッド車の価格が高いのは、米国でのハイブリッド車のシェアが現状で1%以下と低く、価格を下げるほどのスケールメリットがないためだ。また、ハイブリッド人気で需要が供給を大きく上回っているため、値引きがないのも一因となっている。

 しかしEdmunds.comでは、今後ハイブリッド技術が成熟し、ハイブリッド車のシェアが拡大すれば、非ハイブリッド車との価格差が減少すると予測している。また、ブッシュ大統領が2005年5月17日に行った2006年度予算案のスピーチで、ハイブリッド車への税金控除額の増加を提案するといった追い風もある。近い将来、ハイブリッド車と非ハイブリッド車のコスト面の力関係は変化するとレポートはまとめている。

日経Automotive Technology(2005-06-02)