マラッカで元気にやっています
<<シニア海外ボランティア:マレーシア情報=第1便=>>

 新年おめでとうございます。
 皆さんお元気ですか?
 私も極めて快調で、マラッカでの生活を大いに楽しんでいます。
 11月24日にマレーシアに来て3週間ほどクアラルンプールでJICAのオリエンテーションを受けました。クアラルンプールは東京と変わらない大都会で、車、人が多く(特に若い人が多い)、騒々しく、せわしない町で、私のような自然派人間にはあまり好きにはなれません。 こんなに立派な国に何故日本は援助するのかと疑問を感じるほどです。

 交通マナーはものすごく悪く、全くの車優先です。 歩道に堂々と車や、バイクを止め、歩行者のことなどまるで眼中にないという状況です。 男性・女性ドライバーも同じです。 横断歩道を歩いていても、いつ車に撥ねられるか、いつも緊張しています。車、バイク、道路、建物といったハードウエアはかなり揃ってきていますが、エチケット、マナーといった方面はまだまだといった感じです。

 12月15日にマラッカに移り,赴任先である高等技術訓練センターで働き始めました.日本の高等専門学校と同じかもしれません。3年前に設立された新しい学校で、職員数約60名、生徒数340名でまだまだこれから生徒を増やしてゆく状況にあります。  生産工学科、メカトロニクス科、通信工学科、電子工学科の他に一般教育を教えるコースもあります。 私はメカトロニクス科の講師たちにメカトロニクスを教えることになっています。

 この科には既に6台の小型組立て用ロボットが設置されています。 一番古く設置されたものは、2001年9月だそうで、直行3軸の極めて単純なものです。このロボットですら導入後、一度も動かしていないそうです。動かしていないというより、動かせる人がいないというほうが正しいと思います。

 導入するロボットの調査、選定はここの講師たちがするそうです。 導入業者がロボットを設置して、いくつかのサンプルプログラムを作動させ、検収をして帰ってしまうと、後は誰も触れない。 このような状況でありながら、ロボットの数を増やし、現在では6台になっています。 誰も触らないロボットがガラス戸の教室に大切に保管されています。

 かわいそうなのは生徒たちで、自分らで実習に使えると思っているロボットを触らせてもらえないのです。 このような状況を学長、学部長は何も感じないのでしょうか? 学校にとって直接のお客さんは生徒であり、間接的にはその生徒を雇用する企業でしょう。 どうもこの学校はその辺の認識が無いようで、Customer Satisfactionなど無いに等しく、自分たちの上流であるお役所に対する報告書ばかり作っているような気がしてなりません。

 マレーシアの教育は詳しいことはまだ分かりませんが、どうも資格重視の制度を作ろうとしているようです。高級官僚が机の上だけで、こういったカリキュラムでこのようなことを教え、どんな実験設備が必要か、等を考え下に支給してくる。それを受け取る側の状況、実力などはほとんど考えていないようです。 また、受け取る側も、なんら疑問も持たず、言われたことは聞く、上が狙ったことができなくても、それは仕方ないこと。 上も下も誰も責任はない。 これが私が現在感じていることです。

 人間尊重、三現主義、常にお客様のことを考えるといったホンダフィロソフィを何時かここの上層部の人たちに紹介したいと思っているところです。 とりあえず、ここでの私の仕事の第一優先をここにあるロボットを早く動かし、ある程度の取扱説明書も準備してやることに決めました。 早く生徒たちがここのロボットを使って実習できるようにお手伝いしてゆく、その仕事を通して講師としてのあるべき姿などもディスカッションできればと思っています。

 ここの講師たちは極めて控えめで、積極的に私に話を聞きにくるということはまだ一度もありません。 新しいことを学ぶ喜びが分かっていないような気がします。マレーシア国家としては2020年ビジョンというのがあって、2020年には先進国入りをするのだという意気込みをもって国家上層部の人たちは懸命に働いているそうですが、実施部隊のほうがどうも意気込みが足りないような気がします。話が暗くなってきたので、この話はここでやめます。

 12月24日には幸運にもホンダマレーシア工場の平原(hirabaru)DMGから、日本人従業員が使っていたという’98 Model City 1.5L ATを格安で譲っていただけました。 市場価格ではこの車はRM45,000(¥135万円)もします。ちなみに国産車のプロトンでは同じくらいの中古車でRM30,000(¥90万円)します。 マレーシアでは車はぜいたく品で、その代わりバイクがとても多く、ピュンピュンと車の間を走り回りとても危険です。

 2週間ほどはホテル住まいをして,29日からマラッカ中心部から西に8kmのところにある,海沿いのコンドミニアムに引っ越しました.。 このコンドミニアムには,同じ学校で教えている加藤さんご夫妻,ホンダの日本人従業員など,約7名住んでいるそうです。 家賃が高いため,マレー人はほとんど住んでいません。 外国人ばかりだそうです。 コンドミニアムの充足率は約15%で、ほとんどが空き家ですが,治安がよいのでそれほど心配にはなりませ。 14畳ほどのリビングルーム,ベッドルーム3室,バス2ととても広いです。 コンドミニアムはほとんどが家族向きに作られているため,小さな部屋のものはありませんでした。 家賃は1ヶ月日本円で7.5万円ですが,JICAで約8割負担してくれます。 都市部の一般のサラリーマンの月収が12万円位だそうですから,現地人にはとても借りられないようです。

 通勤距離は35km、車で50〜60分かかります.関東地区を考えれば,それほど苦になる時間ではありません。 基本的に第1、第3土曜日は休日で,その他の土曜日は半ドンです。 私の場合は平日に30分長く働くことにして、毎土、日曜日を休日にしてもらっています。 勤務時間は8:00〜17:00で残業はありませんので、明るいうちにコンドミニアムに帰り、少しジョギングなどして、毎日ゆったりと過ごしています。 クアラルンプールと違ってここは全くの田舎といった感じで、木々も多く、稲作の田んぼも所々見られます。 道路工事は非常に多く、道路整備には非常に力を入れているようです。 部屋のベランダからマラッカ海峡に沈む夕日を見ながらゆったりとワインなど飲むのは実に爽快です。

 こちらの正月休みは,1月1日だけお休みで,あとは暦とおりです。 今日も学校からメールを出しています。 インターネットの通信速度が約5kb/sec と話しにならないくらい遅く、腹が立ってきますが、最近は少し慣れてきました。 学校が用意してくれた DeskTop PC と自分の Note PC を2台並べて、インターネットが応答するまでの時間は他の PC で資料作成などするようになりました。 5年前に企画した LAN を使っているそうで当面は高速化の変更はないといっていました。
 1月22日〜25日まで4日連休があるので,どこか遠くへ行ってみたいと思っています.

 昨日の夕日は実に美しかったですよ!!
 刻一刻と海に沈んでゆく真っ赤な夕日を眺めていると、太陽、地球といった宇宙を感じてきます。 ここマラッカは北緯2度くらいですから、宇宙的に見ると、私はちょうど地球の横に立っていることになります。(絵が想像出来ますか) 普段は自分が立っているところが、宇宙的に見て地球のテッペンだと思ってしまいますが、ここマラッカの夕日を眺めていると、太陽、地球の自転、自分の位置などを考えさせられてしまいます。

 皆さんの中でこちらの方に来る予定がありましたら、是非連絡してください。大歓迎いたします。

記:丸山 磐男(2004-1-2)