化成OB 田辺さんが「自分史」を出版

 化成課OBの田辺さんが今回、本田の塗装技術者としての30年間を回顧して「東西自動車塗装スケッチ 自分史への試み」と題して、長年「塗装技術」誌に書き続けてきた 文章をまとめて出版されることになりました。
 私は田辺さん宅の近くに住んでいて、出版を勧めた1人として時々お伺いして田辺さんの執筆状況を見るたびに、これは自分にはとても出来ないと思いつつ、その努力と執念に近い姿を見て元気をいただいておりました。 現在田辺さんはほぼ完全に失明されており、そのうえ週3回の透析が必要とされる体の状態です。

 執筆に必要なデータは「頭の中にある」と言われますが、実際はまだ目の見えるときに書きとめられたダンボール何杯かの(私の記録)を基にされています、これを奥さんに読んでもらいながら必要な箇所をパソコンに入力し、センテンス毎に音声で確認していく方法です。 書きなぐりで専門技術用語の多い文を読む奥さんの苦労は大変なものだと思います。 田辺さんは「けんかは出来ないよ、半分は家内が書いたようなものだ」と言ってましたが、 奥さんなくしては出来なかったと思います。 また田辺さんはデータの正確さを期するために、さまざまな資料を集めていて、現在も自分史以外に「環境問題」や「省エネルギー対策」について専門誌に執筆を続けています。 「本田50年史」も参考にされ、関連項目の内容に違いはないかとの検証もされていました。「本田50年史」の内容は音声変換して確認していましたが、音声変換できない箇所も多く、このときも奥さんがそばに付きっ切りでした。

 2月6日(木)日刊工業新聞に次のような記事が載りました
 失明乗り越え「本田の文化を知って欲しい」
 本田の元主任技師の田辺幸男さん(69)は退職後に失明したが、「本田の企業文化を多の 人に知ってもらいたい」の一心で点字を習得し、パソコンを使って1冊の本を書き上げた。 これが「東西自動車塗装スケッチ 自分史への試み」であり、田辺さんが本田を中心に自動車業界の塗装の歴史を紹介したものである。
 田辺さんは「執筆は大変といえば大変だったが苦にはならなかった、活字になっていない本田宗一郎エピソードも織り込んである、是非読んでもらいたい。」

     B5版 560ページ 200図 上下2巻 ソフトカバー装丁
     提供費用 2000円+送料 申し込みは はがきかEメールにて
        yuki8128@sea.plala.or.jp        
     350-1308 狭山市中央3-13-16
          田辺幸男

記:熊谷 駿夫(2003-04-08)