ボツワナ(アフリカ)でボランティア

 アフリカのボツワナでボランティア活動をされている狭山工場OBの三浦さんからボランティア情報を寄稿してもらいました。下記のように雑誌の編集長との対話形式の文をそのまま掲載しました。雑誌の名前は「ファイブナイン」(59:ファイブナインとは無線用語で了解度5(完全に了解できる)、信号強度9(きわめて強い信号)と言うことで最強の信号の事)と言ってアマチュア無線の特に海外と交信する人たちが読む月刊誌です。この対話形式の記事を読んでいくと三浦さんのボランティア活動や趣味であるアマ無線の活動状況がよくわかります。

編集部 4月から仕事でボツワナに行くことになり 色々情報を集めていますということでしたが、あらためてお伺いしますが、 ボツワナに行かれるようになった経緯をお聞かせください。

三浦 今年1月、JICA(国際協力事業団)のシニア海外ボランテアの面談会場で順番を待っている時でした。事務局の方から急に呼び出されて、「三浦さんにぴったりの国があるんですが」「どちらですか?」「ボツワナです。いかがですか?」「えっ、ボツワナってどこでしたっけ?」と思わず聞いてしまいました。実は何度かJICAの依頼で東南アジアへ出張していましたので、今度はボランテアとして東南アジアに何かお手伝いをしたいと考えて海外シニアボランティアに応募しておりました。出来ればアマ無線が可能な国ということで、マレーシア、インドネシア(ここは日本人はNGと後で知りました)を希望していました。急なアフリカの話に一瞬戸惑いましたが、自分がお役に立てるのならどこでも行きますと答えていました。

編集部 ニュース等で、定年後にボランティアとして海外で働きたいという希望を持っている方は多いとお聞きします。又、その活躍もしばしば報道されていますね。三浦さんの場合はどうでしたか?

三浦 長年、ある自動車会社の製作所勤務で海外駐在の経験も多少ありましたので、退職後は元気な内に何処か海外でボランテアでもしてみようと前から考えていました。実は、アメリカのオハイオ州に6年半住んでいてデイトンの知人宅に何度か遊びに行ったりしましたが、当時はアマ無線にはとんと縁が無く、今から思うとデイトンハムベンションに何度か行けたのに残念至極でなりません(笑)。

編集部 三浦さんのコールは7M1WBPで、コールサインからしますと古くからハムをやっていた訳ではありませんね。開局までの経緯をお聞かせください。

三浦 無線局を開設したのは平成2年の6月1日電波の日です。4アマで開局しました。周りにいる先輩0M(ハム用語:OLD MAN=先輩)に助けられながら3アマ、2アマと資格を取り平成9年に念願の1アマの免許を貰いました。開局後アンテナ製作に興味を持ち50MHzの2エレスイスクワッドを製作し野外運用中、50MHzモービルグループのOMさん達と知り合いになり、技術講習会や伝搬実験等に何度か参加し、知らず知らずのうちに少しずつですが色々経験し知識も多少増えてきたように思います。周りに新しい技術にどんどんチャレンジしていくOMさん達がいますと、後をついて行くのが大変ですが、またおんぶにだっこされる時が多いですがアマ無線を楽しんでおります。

編集部 ハムになりたてはローカル局や先輩ハムの影響を受けますね。先輩が平気で資格違反のハイパワーやひどいマナーの運用をしていますと、周囲もそれに引きつられてしまいがちです。三浦さんの場合いい出会いがあったようですね。

三浦 その通りです。数年前に2回程OMさんと一緒にDX(DISTANCEの略で 海外との交信を意味します)バケーションと銘打ってサイパンやニューカレドニアで運用したこともあります。ここ数年はコンピュータを活用したSSTVやPSK-31などにはまっています。こちらに来てからも8月に開催中のJASTAのアクテビティーコンテストにも時間を見つけて参加しています。

編集部 ボツワナでの三浦さんの仕事はどのようなことをされていますか?

三浦 ここボツワナでの私のボランテア内容は、首都ハボロネにあるハボロネ技術短大の電子科で電気機器実習の講師を担当しています。具体的にはオシロや定電圧電源を使いながらトランジスターやICの基本的な回路を組み立て理解し、将来電気機器のメンテナンス修理等の職場で働けるような知識と技能を身に付けるような事を行っています。
 まだ始めて3カ月しか経過していませんが、先日もIC-706とノートパソコンを各2台持ち込んで、無線機を使用したコミュニケーションの一つとしてSSTVの交信を教室内で実験して見せました。まあ私の趣味の延長上で業務をしているようで誰のための勉強か忘れてしまいそうです(笑)。幸いボツワナは独立前までは英国の保護領であったため公用語は英語と現地語のセツワナ語があり、授業は英語で行っております。担当科目が実習と言うこともあって、現物を見ながらの説明ですので下手な英語でも今のところは何とかなっているようです。

編集部 私がボツワナにDX運用に行った時に、お世話になったこちらで働いておられる日本人の方にお聞きしましたが、日本人はほんの数人しかいないとのことでしたね。ボツワナでの生活はいかがですか。

三浦 現在ボツワナ国内にはJICAの事務員や海外青年協力隊が30人近く派遣されていて、ハボロネにも15人位住んでいます。市内には大きなショッピングセンターが何カ所もあり、生活に必要なものは質を問わなければ何でも手に入る状況です。これと言って衣食住に関して問題はありません。週末には色とりどりの服装の人々が家族連れで買い物を楽しんで賑わっている様子は、これがアフリカ?と思い直すほどです。

編集部 私も昨年ビクトリア瀑布の観光で短時間入国した隣国のジンバブエとボツワナを比較しても、ボツワナの方が豊かという印象を持ちましたね。

三浦 何と言ってもダイヤモンドの産出のお陰で、今ボツワナは平和の中にいますし、又、市内のあちこちで土地開発が目立ちます。しかし反面、HIVエイズの感染率では世界第1位の国で、3人に1人以上の割合で感染していますので、本当は危険な国なのかも知れません。私も自炊時の下手な包丁さばきで手や指に切り傷を作らないように注意しています。不幸中の幸いでしょうか市内には歓楽街がありませんので、もっぱら余暇は無線三昧にふけっております(笑)。

編集部 無線運用についてご紹介ください。確か最初はA25/7M1WBPの短期コールサインでQRVを始めましたね。

三浦 そうです。編集長もご存知のようにこちらでは外国からの短期滞在者はA25/ホームコールが決まりです。最近規則を無視した発行があり、役所内では問題になっています。免許そのものは有効だが更新を希望した場合には規則通りになると言っていました。責任者が不在で良くしらない者がいいなりになったようですが、やはりその国の免許制度を尊重し、自分が日本人であることを自覚し、堂々と運用することが大事ではないかと思います。
 そうそう、つい最近ですが当局の移動免許が許可されました。車のフロントグラスに許可証を貼って合法局であることを示します。

編集部 アマ無線の場合、後に続く人が影響を受けます、旅の恥は掻き捨てとはいかないですね。相互運用でフランス本国発行の短期免許があってもFOでは独自のライセンスを取得しなければなりません。相互運用だからいいだろうとはいかないので、よく調べておく必要がありますね。次ぎに三浦さんの現用リグとアンテナ等について教えてください。

三浦 当局の運用状況はリグがIC-706MKIIGと旧型706、アンテナは4階建ての集合住宅の屋根上に全長40mと50mのロングワイヤー2本を張って、選択しながら3階のベランダに取り付けたICOMのオートアンテナチューナーAH4に接続してHF各バンドに合わせています。こちらの人々の楽しみは家族団らんのテレビ鑑賞ということですので、TVI予防のためにも念を入れてコモンモードフィルターやローパスフィルターを取り付けています。お陰で100W運用でも今のところ苦情はありません。日本と時差が7時間あり、平日職場から帰って運用できるのが夕方5時半(JSTで00時半)からですので限られていますが、主に週末の土日に出ています。聞こえておりましたらぜひコールしてください。

編集部 色々ありがとうございました。これから残す任期の1年半、ご活躍を希望しております。

《追記-1》 月刊 DX Magazine 「Five Nine」
 本誌は全て予約購読、郵送方式で発行と同時に直 接お届けします。葉書にあなたの住所、氏名(ふり がなを忘れず)・コールサインを書き、ご購読期間を 明記して、お申し込み下さい。尚、購読料は本誌が 届いてから郵便振替で結構です。購読料金(税5% ・送料込み)は半年 4760円、1年 9120円。

寄稿:三浦 教克(2002-09-17)