タイ情報

 大変ご無沙汰しております、相変わらず忙しい毎日をお過ごしの事と思います。関東地方は梅雨が明けて猛暑が続いている様子、地球温暖化の影響をモロに受けているのでしょか?

 さて報告が遅れましたが近況を連絡します。5月14日にタイに来てはや2ヶ月が過ぎました。トヨタ出身の2人とホンダの2人が先発隊として来てから、1ヵ月後に後発隊が4人来て、今では8人のJODCの専門家が全員そろいました。そこにJAICAの短期専門家が2名加わってタイは10人の大所帯となりました。

 こちらでの仕事はカーメーカーが出した問題が多いサプライヤーの支援です。私のこちらでの仕事はいま快調です、今までに4社程行きましたが問題を出されてもその中身は何れも大した事はありません。
 例えば
 A社、1.マツダのプレス部品の亀裂対策
    2.プレス成形性判断の観点、工程設定の基準、
      トライ結果不具合の金型改修示
 B社。現場を見て改善の指摘、将来像の提示
 C社。金型製作時の日程管理、品質管理、問題予測、トライ不具合の
    金型改修指示管理は目で見て解る管理表の作成が有効です。

 こんな内容の仕事ですが何れもEGにいるときに飽きるほどやったものばかりです。しかしながらこれとは反対に、最近のカーメーカーの技術動向として、例えば4輪ボディーに積極的に採用されつつある「60kg級ハイテン材」の生産技術ですが、現役時代に実務ベースでやっていませんでしたので少々戸惑います。CAD/CAMを直接指導できないのも歯がゆいところです。

 専門家の中にもいろいろな方がいて、専門の固有技術を持っている人は訪問先から歓迎されますがGeneralistのような方は大変なようです。 例えば「生産管理」「品質管理」と言った事例です。理由は、現地の人がこれらについて問題意識を持っていないからです、それよりも私の事例の様に、今困っていることを教えて欲しいというのが実態です。 言葉の問題も大きな壁です、もの作りの指導なら未だ何とかなりますが、生産管理の必要性を英語で説明しても英語が殆ど現場では通じませんので大変苦労しています。そういった観点で考えますとEGの出身者はタイでは歓迎されるのではないでしょうか。

 JODCの専門家は工場の現場指導が主体ですので物作りの指導が出来ることが原点です。
 私が感じたタイの求めている技術者は
 1.プレス、PO、DCの金型技術者、特に設計がわかる人
 2.溶接技術と治具設計が出来る技術者
 3.機械加工、特に品質向上、不良削減、効率、ツールの改善での観点で
   指導が出来る人。
 4.塗装の不具合対策(特にPO塗装)等
 ・・・の問題が多いようです、もちろんこれ以外にも沢山あると思いますが私は未だ具体的な事例に遭遇していません。

 現在ホンダ倶楽部を通じての応募の状況は如何なものでしょうか? 現地ニーズと来られる方の専門性がマッチングすることを願ってやみません。

 まじめな話はこれくらいにし、タイの生活は大変結構なものです、先日1週間ほど妻が来ましたので観光、ショピング、会食等で丁重に持て成したので、気持ちよく帰っていきました。久しぶりに新婚にかえった気分でした。JODCの規則で任地から半年間は帰れないのがちょっときついですが、タイには結構知り合いがいてゴルフや食事に誘ってくれますので退屈しません。タイ語を覚える気になれば楽しさは倍加します。

 結局リタイヤーしても出身はホンダ、よきに付けあしきに付け「ホンダの人はーー」と言う言われ方をします。何のためにここにいるのか、これをしっかりつかんでおかないと迷いが出ます。では又。

〔追記〕ORIGINAL文はホンダ本社の担当窓口:田中氏、鈴木氏に 報告したものです。

記:粕谷 厚生(2001-7-15)