ホンダ、米国で1万人規模の一時帰休 日産は一時解雇


ホンダは米国で1万人規模の従業員を対象に一時帰休を始めた。新型コロナウイルスの感染拡大で米国での生産を停止しているため自宅で待機させる。日産自動車も約1万人を一時解雇する。米国では3月から自動車工場が一斉に停止し、給与の支給を延期する動きも広がる。新型コロナによる経済活動の大幅な制限が雇用などの実体経済に深刻な影響を与え始めた。

一時帰休はオハイオ州やアラバマ州などに持つ5つの完成車工場の従業員らが対象で、4月末までを予定している。米国の乗用車工場で働く約2万人の従業員の大半が一時帰休することになる。

米国の工場は3月23日から生産を停止しており、4月12日までの給料はホンダが全額保証する。4月13日以降は各従業員に自治体の休業分の助成金を申請してもらう。ホンダにとって米国は中国を上回る販売台数を持つ重要市場で、2019年に120万台を生産した。

日産自動車は米国の従業員約1万人を一時解雇する。テネシー州の完成車工場とエンジン工場、ミシシッピ州の完成車工場の3拠点で働く従業員が対象だ。テネシーでは主力の多目的スポーツ車(SUV)やセダン、電気自動車(EV)を手がける。ミシシッピの工場ではSUVなどに加え、商用車も生産している。米国では19年に76万台を生産した。

3工場とも3月20日から稼働を停止しており、当初は停止期間を4月6日までとしていた。だが、新型コロナの感染被害に終息の兆しが見えないため、停止期間を4月末まで延ばすことを決めた。一時解雇する約1万人は日産からの給与は受け取れないが、失業給付を受け取って職場復帰を待つことになる。各工場が稼働を再開すれば、日産は従業員を再び雇うもようだ。

日産は米国以外でも英国工場で働く従業員約6000人の大半を一時解雇するほか、スペインのバルセロナ工場でも約3000人の一時解雇を決めている。

一時解雇は将来の職場復帰を前提にいったん雇用契約を解除する。政府などの失業給付が受けられる。一方、一時帰休は給与の一定額を企業が支払い、雇用契約も維持される。

新型コロナの感染が拡大する米国では、現地の自動車工場が一斉に停止している。米ゼネラル・モーターズ(GM)は3月末、米国内外の正社員約6万9000人の給与のうち2割の支給を延期することを決めた。現地メディアによると、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)も3カ月間にわたり正社員の給与の2割の支払いを最長約1年間延期する。

米国では経済活動が大幅に制限されている影響で従業員の解雇や一時帰休が急増している。米労働省が2日に発表した失業保険の新規申請件数(季節調整済み)は、3月28日までの1週間で約664万件となり、過去最大だった前週(330万件)からさらに2倍に膨らんだ。飲食店や小売店、ホテルなどが中心だったが、雇用を失う動きは自動車産業など製造業にも広がっている。

nikkei.com.(2020-04-07)