ホンダ、自動運転「レベル3」20年発売へ 日本勢で初


ホンダは2020年夏をメドに、条件付きで運転を自動化する「レベル3」の自動運転車を発売する。一定の条件下であれば緊急時を除きシステムが運転し、乗車している人は前方を向かずスマートフォンの操作やテレビの視聴などが可能になる。「レベル3」を市販するのは日本の自動車メーカーでは初めてだ。自動運転車は当初の価格が割高になり、量産で下がるかが普及のカギとなる。

政府は20年に「レベル3」の自動運転を実用目標を掲げる。道路交通法と道路運送車両法の改正を終えており、20年春の施行後は公道での自動運転が可能になる。ホンダは法改正にあわせ先行する計画だ。


ホンダは20年夏に一部改良する高級車「レジェンド」の一部モデルに「レベル3」の技術を搭載する。まず業界団体が20年7月に都内で予定する自動運転の実証実験に出展し、その後販売する。

ホンダの自動運転は高速道路の渋滞時にシステムが全ての運転をする。渋滞が解消されるなどして自動運転の条件から外れると、警告灯やシートベルトで振動を与えるなどしてドライバーに運転の交代を要請する。高速の通常走行時や一般道では、高度な運転支援の「レベル2」になる。

販売価格は1000万円近くになる可能性がある。現行レジェンドは720万円からで、レベル3の車は大量のセンサー類を搭載し、システムを2重化して信頼性を高めるためコストは高くなる。19年に日産自動車が発売した「レベル2」を搭載の「スカイライン」は通常モデルより100万円以上高かった。ホンダの自動運転の搭載モデルはスカイライン以上の上乗せになる見通しだ。

自動運転車は割高になるため、すぐに普及するかは見通せない。ホンダは初期の段階では法人向けのリース販売として始めることも検討する。ホンダは将来は高級車以外への搭載も検討するが、まだ高額なセンサーなどの中核部品の価格が下がることが前提となる。

自動運転の技術は5段階で区分される。実用済みの「レベル2」までは運転支援の位置付けだ。ハンドルやアクセルを自動で操作しても、運転手は監視のため前方から目を離すことは認められていない。一方で「レベル3」は運転の主体がシステムとなり前方の監視が不要となる。

世界でも自動運転を巡る法整備は進む。米国は州ごとにルールがつくられており、連邦法案は審議中だ。ドイツでは17年に公道でのレベル3が可能になる法改正がされた。ただ、欧州連合(EU)で自動運転車を認証するルール作りが途上のためドイツ国内での走行はできない。日本は20年の法施行でレベル3の実用化で先行する形になる。

自動運転を巡る姿勢は世界の車メーカーで分かれる。独高級車大手のアウディは17年に「レベル3」の技術を市販車に搭載するとしたが、各地の法整備が追いつかず実際は機能を抑えて販売している。日本で法施行でレベル3が可能になっても、すぐに日本で対応モデルを投入しないもようだ。

米ゼネラル・モーターズ(GM)は限定条件で人の操作が一切不要な「レベル4」の自動運転車を19年に実用化する方針だったが安全性の観点から先送りした。米フォード・モーターはレベル3を飛ばし、一気に「レベル4」の自動運転車を21年に実用化する方針だ。

nikkei.com(2019-12-13)