ホンダ、GMとEV電池 北米向け共同開発

 ホンダは7日、米ゼネラル・モーターズ(GM)と電気自動車(EV)に使う高効率の電池を共同開発すると発表した。主に北米向けに投入するEVに搭載する。ホンダは燃料電池車(FCV)の開発でも組むGMとの関係を深め、次世代車での世界競争に備える。環境規制の世界的な高まりを受け、自動車メーカーがEVで提携する組み合わせが固まってきた。

 ホンダは中国向けEVの電池を車載電池世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)と共同開発する方針。EVの基幹部品を自動車の二大市場である米中で開発、調達するメドをつけた。

 GMはEV「シボレー・ボルト」を2010年に発売するなど主要メーカーの中でEV技術で先行している。蓄積した技術をもとに、ホンダとともに充電時間が短く、小型で航続距離が長い高効率のリチウムイオン電池を開発する。

 共同開発品の製品化の時期を明らかにしていないが、20年代前半を目指すとみられる。外部から調達した電池セルを使ってGMの米国内工場でバッテリーモジュールを生産しホンダに供給することを視野に入れている。

 GMはかねて次期ボルトで1回充電あたりの航続距離300マイル(約480キロメートル)以上を目指している。ホンダはこうしたGMの技術を活用するほか、調達コストを引き下げ、北米で量販車種のEV投入を急ぐ。

 両社で共同開発する電池も300マイル以上を目標にする可能性が高い。日産「リーフ」の航続距離は400キロメートル。EVがガソリン車などと比べて最も弱い航続距離が伸び普及に拍車がかかりそうだ。

 ホンダは世界市場でハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)を手掛け、17年の世界販売のうち電動車は約26万台で全体の約5%だった。製品化で出遅れたEVの開発を急いでおり、中国で18年中に小型SUV(多目的スポーツ車)をベースとするEVを発売する。

 技術面で弱かったのがEV電池の分野。技術を蓄積しているGMや急成長するCATLと組み、環境車の中心になりつつあるEVで巻き返す。

 ホンダとGMは水素と酸素を反応させて発電するFCVでも13年に共同研究を始めると発表した。FCVの基幹部品を米国で共同生産することも17年に決めている。量産効果を高めて20年ごろに発売する両社のFCVにそれぞれ搭載する。

 ただFCVは燃料となる水素インフラの整備の遅れなどから普及が進んでいない。英調査会社、IHSマークイットは30年のFCVの世界市場を10万台強、EVは約850万台と予測している。ホンダは市場拡大が先行するEVでGMとの提携関係を広げ、トヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)、新興の中国メーカーとの競争で優位に立ちたい考えだ。

 ホンダの17年の世界販売は530万台。1000万台規模のトヨタや日産自動車・仏ルノー・三菱自動車の連合などに比べて規模が小さい。EVで膨らむ開発費を抑えるため、外部との積極的な提携を進めており、電動車両のモーターでは日立製作所と組んでいる。

 英仏中が将来のガソリン車の販売禁止を検討したことによる世界的なEVシフトを受け、自動車メーカーが提携する動きが広がっている。日本勢ではトヨタがマツダやデンソーと技術開発の共同出資会社を設立した。日産、ルノー、三菱自はEVの車台と部品の共有を進める。

《追記》
☆本田技研工業情報 「GMとHondaが、GMの次期バッテリーをベースとしたバッテリーコンポーネントの協業に合意」ここをクリック

nikkei.com(2018-06-07)