ホンダ、勝負のHV一斉投入 燃費規制に即戦力で

 ホンダは2018年、主力市場の米国、中国、日本でハイブリッド車(HV)の有力モデルを一斉に発売する。基幹部品の現地調達も進め、コスト競争力を高める。ホンダは30年までに世界販売の65%をHVや電気自動車(EV)などの電動車両にする方針。次世代エコカーとして有力なEVはコストやインフラに課題が残るため、ホンダは即戦力のHV投入で世界の燃費規制に対応する。

 米国では18年前半に主力セダン「アコード」のHVを発売し、夏にはHV専用車「インサイト」も投入する。米国はホンダにとって最大市場だが、17年のHV販売台数は2万台強で比率も1%にとどまった。中長期の環境対応需要を取り込む。

 中国では、春に高級車ブランド「アキュラ」の多目的スポーツ車(SUV)「CDX」にHV仕様を投入する。CDXはアキュラの中国販売の9割を占める主力車種。高級車で環境性能を打ちだし、ブランドイメージを高める。20年ごろには、プラグインハイブリッド車(PHV)の販売も始める方針だ。

 日本では夏にSUV「CR―V」の新型でHVを発売。年末にはインサイトを4年ぶりに復活させる。ホンダは日本市場での販売の半数(軽自動車を除く)をHVで占めるが、上積みを目指す。

 コスト競争力を高めるため、部品メーカーとも協力し、基幹部品の現地調達を進める。米国で発売するアコードHVは米国生産とし、バッテリーなどで構成する電力供給部品も現地でつくる。

 ホンダのHVの電力を制御する部品を手掛ける系列会社ケーヒンも、20年までに米中で現地生産を始める方針。モーターでは、日立オートモティブシステムズとの共同出資会社が21年までに米中で現地生産をする。

 ホンダがHVを世界の主力市場で一斉に発売するのは環境規制への対応が狙いだ。中国や米カリフォルニア州は排ガスを出さないEVなどの販売を一定台数義務付ける規制を設けている。

 これとは別に、自動車メーカーごとの平均燃費「CAFE方式」の規制もあり、HVが有効だ。CAFE方式の採用国は20年に日本や欧米、中国など計30カ国・地域程度に広がる見通し。

 ホンダの17年の電動車販売は約26万台と全体の5%にとどまるが、30年までに世界販売の65%を電動車にする計画。このうち全体の50%をHVやPHVとし、残る15%をEVや燃料電池車(FCV)とする方針だ。

 19〜20年に欧州や日本で量産型EVを投入するが、コストやインフラ、充電時間などの課題があるため当面はHVを主役と位置づける。

 HVは90年代後半にホンダやトヨタ自動車が実用化した時点ではコストが課題となっていた。20年ほどを経て普及が進み、システムの量産効果も出て、今では収益性も高くなっているようだ。

 英調査会社IHSマークイットの予測では、30年の世界販売に占めるHVは全体の33%で、EVの7%を上回る。

nikkei.com(2018-02-26)