車新規制、「電動」シフト迫る 日産は高級ブランドで

 【デトロイト=工藤正晃、湯沢維久】各国で強化される環境規制が自動車各社に電気自動車(EV)など電動車へのシフトを迫っている。日産自動車は高級車「インフィニティ」を電動車専用ブランドにする。トヨタ自動車も高級車「レクサス」の全モデルに電動車を加える。中国企業もEVで米国に進出。アジア勢も含めた競争が激しくなりそうだ。

 インフィニティの17年の世界販売台数は24万6千台。米国での販売が大半を占め中国や欧州などで展開する。21年以降の新型車は原則としてEVなどの電動車とし、22年には世界販売の5割を電動車とする計画。環境性能の高さで先進性を訴求する。日産ブランドを含めた電動車比率は現在は世界平均で数%。22年には日欧で4割、米で2〜3割、中国で3割に引き上げる。

 北米国際自動車ショーで、米フォード・モーターは22年までに電動車40モデルに最大110億ドル(約1兆2200億円)を投資する方針を明らかにした。トヨタは25年をメドにレクサスの全車種でEVや燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)などを設定する計画を改めて強調した。

 米国ではカリフォルニアなど10州が導入する一定数の「ZEV(排ガスゼロ車)」の販売を義務付ける規制で、18年モデルからHVがZEVの対象から外れた。25年ごろには台数ベースで1割程度のEVやプラグインハイブリッド車(PHV)、FCVの販売が義務付けられる見込みだ。

 中国でも19年から一定比率のEVなどの生産・販売を義務付ける規制が導入される。欧州は二酸化炭素(CO2)の排出規制厳格化に加え、英仏など将来的にエンジン車の販売を禁じる方針を打ち出す国も出てきている。

 世界的なEVシフトを好機と見て中国メーカーも動く。中国の自動車大手、広州汽車は19年末までに小型の多目的スポーツ車(SUV)のEVで米市場に参入すると表明した。シリコンバレーに次ぐ開発拠点をデトロイトに設置し欧州市場にも参入する計画だ。

 世界で最もEVが売れる母国市場で実績を積んだ中国勢が、日米欧メーカーの競争に割って入る動きが続きそうだ。

nikkei.com(2018-01-17)